【人力検索かきつばた杯】じゃないよ！　【謎解き・説明解読クイズ・ニッポンの？ドリンク】

B美「クリームソーダね」
D菜「英語では別なものを指すわけ？」
B美「そうよ。cream sodaはバニラ入りソーダであって通常は上に乗っかってはいないわ。画像検索して御覧」
D菜（検索して）「そうね。なら乗っかっているのは英語では何て言うわけ？」
B美「言い方は色々あるけどice-cream sodaとかね、画像検索して御覧」
D菜（検索して）「そうね。でも日本のと違って色はまちまちね。ハイフンが入っているのとないのがあるけど？」
B美「理屈からは、ice-creamで形容詞の役割をするのでつけるべきだけど、実際は揺れがあるわよ。hard disk driveのようにhard diskが形容詞の役割をしていてもつけない慣用が固定しているのもあるし」
D菜「他の呼び方は？」
B美「soda floatとか、ice-cream floatとかね。soda【に】floatしているかice cream【が】floatしているかの違いはあるけど。」
D菜（検索して）「そうね。ありがとう。Googleの画像検索にそういう使い方もできるのね」

Ｂ美はあっさり答えた。
Ｂ美「クリームソーダね。日本だとメロンソーダ＋アイスクリーム＋チェリーのことだけど、外国だと cream soda は、コーラやルートビアに、バニラ風味を付けたもので、アイスクリームは乗せないの」

Ｄ菜は不思議そうに尋ねた。
Ｄ菜「Ｊ尼は『アメリカデハ別ノ名前ニナッテマース』って言ってたけど」
Ｂ美「日本のクリームソーダに近いものは、アメリカでは『フロート』。日本のクリームソーダは、アイスクリームはバニラ一択。ソーダは、本当は『炭酸水』って意味だから、『ソノ名ニ偽リ有リ』と言われても仕方ないところね」

Ｄ菜は質問した。
Ｄ菜「Ｆ吉が言ってた『材料を変えちゃうと名前も違っちゃう』っていうのは？」
Ｂ美は答えた。
Ｂ美「クリームソーダに使うソーダは、メロンソーダ一択で、他の色のソーダにしたら、フロートになっちゃうの。自販機でもクリームソーダは売ってるけど、もちろんアイスクリームを浮かせるわけにはいかないから、最初から混ぜた味にせざるを得ないわね」

Ｄ菜は納得した。
Ｄ菜「クリームソーダは、上から食べても下から食べてもおいしいわね。私、大好きなの！」
Ｂ美は微笑んだ。
Ｂ美「Ｄ菜のイメージにぴったりね！」
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※注
「Ｂ美と愉快な仲間たち」の表紙は、１巻がコーヒー(Ｂ美)、２巻が紅茶(Ｉ穂)とクッキー(Ｂ美兄)、３巻がクリームソーダ(Ｄ菜)、４巻がドーナツ(Ｆ吉)で、飲み物が女性、食べ物が男性を象徴しています。ですので、最終的にはＦ吉はＤ菜と別れ、Ｂ美とくっつくことになります。

なお５巻(Ｊ尼)の表紙はコーラになる予定です。あと、次回の「第二十一回文学フリマ東京」2015年11月23日（月祝）には「らいおんの屋台」で出展します!!

「Green with White」　　　　

「だれか、助けてぇっ！」

碧眼の少女が助けを呼ぶ悲鳴が崖の上を広がってゆく。
誰も聞いているものがいないと思われる悲鳴を聞いている者たちがいた。

「そこまでだ！　少女の手を放せ！」
「極東の果てまでご苦労なことだ」

そう。彼らはヒーロー。弱きを助け、悪を憎む正義のヒーローだ。

「トマトジュースっ！」
「ブルーハワイっ！」
「マウンテンデューっ！」
「ピンクレモネード よ♥」

彼達はヒーロー大国アメリカから追ってきた四人の戦士たち。賢明な読者の皆さんには説明するまでもないだろうが、ジャパンのカルチャーはアメリカの伝統をも侵食しつつある。

「レッドストリーム！」
「プルーフラッシュ！」
「イエローボムっ！」
「ピンキートルネード！」

正義の名の元に複数人で、たった一人の悪人を寄ってたかったなぶるのもジャパンカルチャーだ。

「ちっ、うっとおしいやつらめ。メントスガイザー！」

「うわあっ！」

弾けとぶ四人。

「ハンバーガー、フライドチキン。やつらをやっちまえ」

戦闘員と呼ばれるただの時間稼ぎにしかならない無駄なシステムは悪人と言えどアメリカンな思考にはなじまない。
だが、我の強い個性が稀に共闘するのが、アメリカンスタイルだ。


「避けろ」

どこから響く第五の声。

「滅せい。千の矢」

「ぐぁぁぁっ」

幾条もの白い閃光が敵を貫く。

「この日本で好き勝手なことはさせない！」
「何やつ！」
「この日本を守るヒーローのひとり。クリームソーダさ」

ヒーローにふさわしく、ポーズも台詞もびしっと決まっている。

「！！！！！」
「アメリカの。ハンバーガーとフライドチキンは任せた。こいつは私が！」
「おうっ！　こいつらは私たちに任せろ」

「時間がない、いくぞ！　氷粒百花繚乱」
「ぐうっ！」
「とどめだ。七条の緑泡！」


　　　――――――――――


自由を取り戻した少女は、他の二人を片付けた四人の元へ駆け寄る。
動けなくなったコーラの傍らにクリームソーダが膝をつく。

「こんなに真っ黒になっちまって」

まだあまり溶けていないアイスクリームを半分コーラに入れてやる。
一瞬、コーラに溶けていた炭酸が気化した泡に包まれると、じわりと白いクリームが広がる。

「ああ……　やっぱりクリームソーダか
　フロートみたいな成りをしてるから別人かと……　思ったぜ」
「正気を取り戻したか」
「自分は大丈夫だと思ってたんだがな……　コーラの魔力は尋常じゃなかったぜ……」
「もう、大丈夫だな」

すっと立ち上がるとコーラに背を向けて四人の方へ向かうクリームソーダ。

「はっはっは！　甘いところは相変わらずだなあっ！」
「！」
「危ないっ！」

レッドの手から放たれた一条の赤光がコーラを貫く。振りむいてコーラに駆け寄るクリームソーダ。

「ば、ばかな……」
「良いんだ、これで良いのさ……」
「分かってたんだろうっ！　お前のキング・クリムゾンを食らえば私だってただでは済まなかった」
「ふっ。汚れちまった俺がお前のことを思い出せたときに、これで終わっても良いんだと……」

今度こそ本当に動けなくなったコーラを抱きしめて叫ぶクリームソーダの叫びが荒野にこだまする。



（了）