先日【謎解き・歌詞解釈・「ルパン三世のテーマ」の「ひとすじの流れ星」の意味は?】という質問に回答し、ベストアンサーをいただきました。
ご質問者のid:lionfan2さんには喜んでいただいたようで何よりですが、私としては自分の文章がすごく読みづらいと思っています…。
これでも努力したのですが…。
そこで、変なところやその対案を教えていただけますか?
http://q.hatena.ne.jp/1405868069#a1234326
できれば変なところの指摘だけでなく、一部でもいいので書き直したものを見せていただけると勉強になります。
今回は私の主張の内容には立ち入らず、読みやすい文章のためにできることを知りたいです。
よろしくお願いします!
※達意の文章と言う点では、全然問題ないと言ってよいのではないでしょうか。それでも、というのであれば、いつも気を付けていることを、それぞれの箇所に対して、次の行に書いてみます。
id:lionfan2さん! お待たせしました。
lionfan2さんの考えを図示すると、今回のテーマは下図でいう意味の橋になるはず。
でもね、私が大事だと思うのは、ここじゃないのです。
いまからその話をします☆
私がこの歌詞を見て、最初にすごいと思ったのはとにかく1行めです。
>私がこの歌詞を見て最初にすごいと思ったのは、とにかく1行めです。(本多勝一流読点①)
真赤な薔薇は あいつの唇
この部分がすごいのです。
そしてこの部分に注目すると、lionfan2さんが考えていた5~6行めもつられてわかるようになります。
>そして、この部分に注目すると、lionfan2さんが考えていた5~6行めも、つられて解るようになります。(息継ぎ読点他②)
だから、回りくどいようですが、まずは1行めを考えてみることにします。
共通点は、比喩です。
私的には、比喩は3つの要素でできています。トピック、例え話、意味の橋、です。
>私的には、比喩は3つの要素でできていると考えています。それは、トピック、例え話、意味の橋、です。(”私的には”を厳密解釈③)
例示します。
「先生は天使のようだ。」という文なら、「先生」がトピック、「天使」が例え話になります。
トピックは比喩の外にあるいわば「地の文」なので、意味は字義通りになります。
例え話は字義通りの意味ではなく、天使が持つ特徴を「天使」という言葉で代弁させていることになります。
最後に意味の橋ですが、これは文中には出てきません。
意味の橋とは、トピックと例え話を意味の上でつなぐもの。
今回でいうと、「先生」と「天使」には「優しい」という共通点があります。
ここでは「優しい」が意味の橋です。
図示すると、以下のようになります。
例示おわり。
さて、歌詞の1行めの比喩はこうでした。
真っ赤な薔薇は あいつの唇
図示するとこういう感じです。
これでいうと、「真っ赤な薔薇」がトピック、「あいつの唇」が例え話になります。
意味の橋はきっと「赤い」ということでしょう。
…ここであれ?って私は思いました。
あれ、トピックと例え話、逆じゃない??
そうなのです。1行めの文、順番がふつうとちょっと違うのです。
ふつうだったら、唇を見て、それを薔薇に例えるところだと思うのです。
でもこの歌詞は逆です。そしてそれがこの歌詞のいいところです。
薔薇は、あいつの唇のように赤い
あいつの唇は、薔薇のように赤い
1.は、この歌詞を文に変換したもの。2.は、それを入れ替えて、ふつうな感じに私が作ったものです。
人のからだを別のものに例えるのはよくある手段です。
たとえば、白い雪のような清らかな肌を持つ少女を白雪姫とか言ったりします。それふつう。
それが、逆だったらどうでしょう。
雪を見て、それと同じような清らかな肌を持つ少女を想起するのだとしたらヤバいです。
>雪を見て、それと同じような清らかな肌を持つ少女を想起するのだとしたら、ヤバいです。(息継ぎ読点④)
その人どんだけ肌白いんだよ!!って思います。
それと同じことが、この歌詞の中で起きています。
「真っ赤な薔薇は あいつの唇」って表現、聞く人にすごく赤さの印象を強く残すのですね。
1行めは、こんなふうにすごくイレギュラーで、気の利いた表現です。
とすれば、lionfan2さんが注目されている5~6行めも同じ構図にならないでしょうか。
>とすれば、lionfan2さんが注目されている5~6行めも、同じ構図にならないでしょうか。(息継ぎ読点⑤)
改めて引用すると、5~6行めはこうでした。
男には 自分の世界がある たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星
それに対するlionfan2さんのまとめは、こうです。
でも、私はこうではないと見ています。
「流れ星」は例え話ではなくて、トピックのはず。
流れ星を見て、流れ星みたいな人を想起する、というような流れにならないと、1行めと対応が悪くなっちゃう!
>流れ星を見て、流れ星みたいな人を想起する、というような流れにならないと、1行めと対応が悪くなってしまいます。(文末を統一する⑥)
でもそうだとすると、流れ星のあとに例え話が出てくるはずです。
それなのに見当たりません。
どうして?
>どうしてでしょうか?(文末統一⑦)
存在しないのではありません。歌詞としては文字に起こされていないだけです。
「ひとすじの流れ星~♪」のあと、曲はこう続きます。
「ルパン ザ サード!」って。
これ、構図を描き直すとすると、こうです。
>これ、構図を書き直すと、こうなります。(なんとなく、口が回らない⑧)
「男には 自分の世界がある」の部分は、もはや比喩とは関係のない部分です。
それよりあとの部分だけで、比喩の世界は完結しているみたいなのです。
私は「流れ星」はトピック「ルパン ザ サード」が例え話、だと思います。
この歌詞は、こんなふうに、私たちの予想を裏切ったところに比喩があるからこそ、
ステキで素晴らしいのです。
しかもここで「流れ星」って言葉がチョイスされるのは、ほんとにセンス感じます!
>しかもここで「流れ星」って言葉がチョイスされるのは、ほんとにセンスを感じます。(厳密なてにをは⑨)
だって「流れ星」は1行めの「薔薇」と対比されているのですよ。
「薔薇」は動かないものだけど「流れ星」は動くもの。
「薔薇」は色を反射して美しいものだけど、「流れ星」は発光するから美しいもの。
>「薔薇」は光を反射して美しいものだけど、「流れ星」は光を発するから美しいもの。(対比分を厳密化⑩)
それに「薔薇」は見下ろすものだけど、「流れ星」はいつだって見上げるもの。
>それに、「薔薇」は見下ろすものだけど、「流れ星」はいつだって見上げるもの。(息継ぎ読点⑪)
「薔薇」と「流れ星」はふだんは対で考えたりしないものですが、
こうして対応させるために、よく練られたペアなのです。
この対応関係は意味の橋でもあります。
この質問の当初の趣旨は、意味の橋を探ることでした。
上記の対応関係が、私からの答えです。
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 動くもの )だ
だし、
>と言えそうです。また、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 輝くもの )だ
だし、
>と表現してもよいでしょう。さらには、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 見上げたもの )だ
です。
>とも言えそうです。(いちいち表記を変える方法を検討⑫)
でもこの歌詞の見どころは、もっと違うところにあると私は思ったのです。
>でも、この歌詞の見どころはもっと違うところにある、と私は思ったのです。(本多勝一流読点⑬)
この目に見えにくいくせによく練られた比喩の構図が、この歌詞の一番の見どころだと私は勝手に考えたのでした。
>この、目に見えにくい癖によく練られた比喩の構図がこの歌詞の一番の見どころだ、と私は勝手に考えたのでした。(本多勝一流読点⑭)
長文お読みいただきありがとうございました。
※ 無理に赤を入れると、こうなる感じです。しかし、ほとんどの部分は変更なしで問題ないです。むしろ赤を入れた方が気になるところもある。私の個人的見解をあえて入れるなら、読点を入れると「声を出して読みやすい」というところでしょうか。(①②④⑤⑧⑬⑭)
※※ 本多勝一流読点とは、文法に囚われずに自由裁量が可能な「読点」を用いて、さらに読みやすさを追求する手段のことです。詳しくは、「日本語の作文技術」を参照してください。
補足
味もそっけもない、ただの報告をするのなら。
「結論を先に書け」
です。事業部長への1分間プレゼンならこれ。
『この比喩の本質は、空を書ける一筋の流れ星はルパン・ザ・サードを指し示す、です。』
(理由はこれ以降に書きますが、暇なときに読んでください。)
しかし、事業部長が東京駅に着くまでの間に説明する必要は、ここではありません。
そこで、普通の論説文の構成ならば。
「小論文で推奨されるように、序論本論結論で構成する」
となります。
あてはめてみましょう。
序論:歌詞を考えるときには、3要素の比喩を使う。
本論:この歌詞は、通常の歌詞と比喩の構成が違う。
結論:この通常と違う構成なので、理解しにくいが心に訴えるものだ。
この構成に当てはまってる気がします。
たぶん、気にしてらっしゃるのは、「ちょっと長いかしら」と言う点ではないかと。
しかし、例示がわかりやすく、納得のいく説明の連続で、
「長さを感じさせない」
のです。これ、削るとかえって「熱さだけが薄まってしまい」かえって読む気力を失いかねません。
※構成については、問題ないと思います。
わりと繰り返しが多くくどい感じもしますが、そこが説得力抜群でもあります。
省略しづらいのですが、とりあえず省略してみました。
============
質問者さんの「自分の解釈」を拝見すると
「自分の夢を追求したいという心」と「一筋の流れ星」をつなぐ「意味の橋」をたずねていらっしゃいます。
でも、この歌詞の一部だけを取り出したのでは上手くいきません。
別の歌詞にも注目すべきです。
その前にまず、比喩というものは3つの要素でできています。トピック、例え話、意味の橋、です。
例えば「先生は天使のようだ。」という文なら、「先生」がトピック、「天使」が例え話になります。
トピックは「地の文」なので字義通りになります。
例え話は字義通りの意味ではなく、ある特徴を代弁させる言葉。
最後に意味の橋ですが、これは文中には出てこない共通点で「先生」と「天使」をつなぐもの。
ここでは「優しい」が意味の橋です。
さて、注目すべき別の歌詞とは一行目の「真赤な薔薇は あいつの唇」という比喩です。
これは「真っ赤な薔薇」がトピック、「あいつの唇」が例え話になります。意味の橋は「赤い」ですからわかりやすい比喩かに見えます。
ところが、良く見ると、順番がふつうとちょっと違うのです。
倒置した比喩の「真っ赤な薔薇は あいつの唇」って表現、聞く人にすごく赤さの印象を強く残すのですね。
1行めは、こんなふうにすごくイレギュラーで、気の利いた表現です。
とすれば、lionfan2さんが注目されている5~6行めも同じ構図にならないでしょうか。
「男には 自分の世界がある たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星」
これが一行目と呼応するなら「流れ星」は例え話ではなくて、トピックのはず。
流れ星を見て、流れ星みたいな人を想起する、のでないと1行めと対応が悪い。
でもその場合流れ星のあとにたとえ話があるはずですが見当たりません。
存在しないのではありません。歌詞としては文字に起こされていないだけです。
「ルパン ザ サード!」
だから私は「流れ星」はトピックで「ルパン ザ サード」が例え話、だと思います。
この歌詞は、こんなふうに、私たちの予想を裏切ったところに比喩があるからこそ、
ステキで素晴らしいのだとおもいます。
しかもここで「流れ星」は1行めの「薔薇」と対比されているのですよ。
「薔薇」は動かないものだけど「流れ星」は動くもの。
「薔薇」は色を反射して美しいものだけど、「流れ星」は発光するから美しいもの。
それに「薔薇」は見下ろすものだけど、「流れ星」はいつだって見上げるもの。
「薔薇」と「流れ星」はふだんは対で考えたりしないものですが、
こうして対応させるために、よく練られたペアなのです。
この対応関係は対置による意味の橋も形作っています。
この質問の当初の趣旨は、意味の橋を探ることでしたから、この、赤い薔薇との対比にある意味の橋が、私からの答えになります。
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 動くもの )だ
だし、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 輝くもの )だ
だし、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 見上げたもの )だ
です。
つまりこの歌詞の見どころは、ご指摘の5-6行目とはもっと違うところにあると私は思ったのです。
この目に見えにくいくせによく練られた比喩の構図が、この歌詞の一番の見どころだと私は勝手に考えたのでした。
==========
回答者の立場からいろいろみていると、短いほうがよく伝わる質問もあり、長い回答を「長い」という理由だけで読み飛ばす質問者さえもいます。
ライオンファン2さんは表現力もしっかりみていらっしゃるので、結果、長さは欠点にならずベストアンサーを授与されたわけですが、私ならここまでの長文回答は最近あまりしません。
というわけで、ベストアンサーももらって別に「悪く」はない回答だとおもいますが敢えて「冗長さ」に注目して重複をはぶき、短く書き直し(?)させていただきました。
書き直し例のご提示ありがとうございます!
大幅に分量は減ったはずなのに、まったく文意が損なわれてない感じします!
私の文章が冗長なのだとよくわかります…。
引用の部分、1行だけだったらはてな記法を使うよりもかぎかっこのほうが
スマートに見えますね。コンパクトだからでしょうか。
本来の趣旨とは違うと思いますが、冒頭の部分、
質問者さんの「自分の解釈」を拝見すると
「自分の夢を追求したいという心」と「一筋の流れ星」をつなぐ「意味の橋」をたずねていらっしゃいます。
の「たずねて」がひらがなになっているので、
「尋ねて」とも「訪ねて」とも取れてすごくオシャレに感じます!
私としては自分の文章がすごく読みづらいと思っています…。
ふうん。
ぼくは、それほど id:hacosato さんの文章が読みづらいとは思わないんですけど。
歌詞を読み解く系の文章は、ブログも含めて、熱い感じがストレートに伝わってくるので、特に気にならない。
表記の揺れも、感じたことは無いし、文章を推敲してから、投稿してるんだろうな、と思ってました。
と、いうのでは、回答にならないので、敢えて、ってところをいくつか。
表記が揺れてないし、わざとやってるんだろうな、とは思いますし、漢字が続くと読みにくくなる場合があるので、普通は漢字で書くところを、敢えてひらがなにする、というのは普通のテクニックだとは思いますが。
それでも気になったのは「1行め」。
これは、「1行目」か「一行目」かなあ。
特に気になるのは、ここ。
lionfan2さんが考えていた5~6行めもつられてわかるようになります。
他にも、「○行めも」というところが出てきますが、「めも」で意味が通っちゃうので、んん、って引っかかっちゃうんですよね。
書籍だと、ひらがなが続いて単語の切れ目が分かりにくい場合には、傍点を打つ、という手がありますが、人力検索の回答ではできませんので、
とか。
lionfan2さんが考えていた5~6行めも つられてわかるようになります。
lionfan2さんが考えていた5~6行めも、つられてわかるようになります。
lionfan2さんが考えていた5~6行目も、つられてわかるようになります。
他にも、「わかる」とか「ふつう」とか「いいところ」とか、漢字じゃないんだ、というところはありますけど、狙ってるんですよね、きっと。
引用記法を多用する場合、blockquote の margin が大きいので、まるまる一行分を取ってしまいます。
なので、段落の切れ目が目立たなくなっちゃう。
なので、引用記法を多用するときには、段落の切れ目は、改行ひとつではなく、敢えて、二、三行の空行を入れると、段落の切れ目がはっきりします。
完全に好みの話ですけれど、Bold って、目立つようで、目立たない気がします。
後、キーワードに使っている
トピック、例え話、意味の橋、です。
は、色付けは狙ってやってるとしても、色が薄いので、ちょっと目立たない感じ。
ぼくは、そんなときには、文字の大きさを変えます。
最後に意味の橋ですが、これは文中には出てきません。
意味の橋とは、トピックと例え話を意味の上でつなぐもの。
今回でいうと、「先生」と「天使」には「優しい」という共通点があります。
ここでは「優しい」が意味の橋です。
図示すると、以下のようになります。
文字の大きさを指定すると、こう(前後に、スペースも入れてます)。
最後に 意味の橋 ですが、これは文中には出てきません。
意味の橋 とは、トピック と 例え話 を意味の上でつなぐもの。
今回でいうと、「先生」と「天使」には「優しい」という共通点があります。
ここでは「優しい」が 意味の橋 です。
図示すると、以下のようになります。
もうちょっと大きくすると、こう(やり過ぎか?)。
最後に 意味の橋 ですが、これは文中には出てきません。
意味の橋 とは、トピック と 例え話 を意味の上でつなぐもの。
今回でいうと、「先生」と「天使」には「優しい」という共通点があります。
ここでは「優しい」が 意味の橋 です。
図示すると、以下のようになります。
ぼくは、別に文章を書くのが得意というわけではありませんが、自分でも気にしていることを書いてみたりしました。
自分では、できているのか、というところは、脇に置いといて :-)
ちなみに、ぼくの場合は、かきつばた杯 以外では、読点を多用します。
それは、それで、見づらいなあとも思ってるので、かきつばた杯では、気にして修正しているんですが。
同業者(ほとんど見たことない)がいらっしゃるのかと思いましたよ!
ブログもご覧いただいているんですね。どうもありがとうございます。
※達意の文章と言う点では、全然問題ないと言ってよいのではないでしょうか。それでも、というのであれば、いつも気を付けていることを、それぞれの箇所に対して、次の行に書いてみます。
id:lionfan2さん! お待たせしました。
lionfan2さんの考えを図示すると、今回のテーマは下図でいう意味の橋になるはず。
でもね、私が大事だと思うのは、ここじゃないのです。
いまからその話をします☆
私がこの歌詞を見て、最初にすごいと思ったのはとにかく1行めです。
>私がこの歌詞を見て最初にすごいと思ったのは、とにかく1行めです。(本多勝一流読点①)
真赤な薔薇は あいつの唇
この部分がすごいのです。
そしてこの部分に注目すると、lionfan2さんが考えていた5~6行めもつられてわかるようになります。
>そして、この部分に注目すると、lionfan2さんが考えていた5~6行めも、つられて解るようになります。(息継ぎ読点他②)
だから、回りくどいようですが、まずは1行めを考えてみることにします。
共通点は、比喩です。
私的には、比喩は3つの要素でできています。トピック、例え話、意味の橋、です。
>私的には、比喩は3つの要素でできていると考えています。それは、トピック、例え話、意味の橋、です。(”私的には”を厳密解釈③)
例示します。
「先生は天使のようだ。」という文なら、「先生」がトピック、「天使」が例え話になります。
トピックは比喩の外にあるいわば「地の文」なので、意味は字義通りになります。
例え話は字義通りの意味ではなく、天使が持つ特徴を「天使」という言葉で代弁させていることになります。
最後に意味の橋ですが、これは文中には出てきません。
意味の橋とは、トピックと例え話を意味の上でつなぐもの。
今回でいうと、「先生」と「天使」には「優しい」という共通点があります。
ここでは「優しい」が意味の橋です。
図示すると、以下のようになります。
例示おわり。
さて、歌詞の1行めの比喩はこうでした。
真っ赤な薔薇は あいつの唇
図示するとこういう感じです。
これでいうと、「真っ赤な薔薇」がトピック、「あいつの唇」が例え話になります。
意味の橋はきっと「赤い」ということでしょう。
…ここであれ?って私は思いました。
あれ、トピックと例え話、逆じゃない??
そうなのです。1行めの文、順番がふつうとちょっと違うのです。
ふつうだったら、唇を見て、それを薔薇に例えるところだと思うのです。
でもこの歌詞は逆です。そしてそれがこの歌詞のいいところです。
薔薇は、あいつの唇のように赤い
あいつの唇は、薔薇のように赤い
1.は、この歌詞を文に変換したもの。2.は、それを入れ替えて、ふつうな感じに私が作ったものです。
人のからだを別のものに例えるのはよくある手段です。
たとえば、白い雪のような清らかな肌を持つ少女を白雪姫とか言ったりします。それふつう。
それが、逆だったらどうでしょう。
雪を見て、それと同じような清らかな肌を持つ少女を想起するのだとしたらヤバいです。
>雪を見て、それと同じような清らかな肌を持つ少女を想起するのだとしたら、ヤバいです。(息継ぎ読点④)
その人どんだけ肌白いんだよ!!って思います。
それと同じことが、この歌詞の中で起きています。
「真っ赤な薔薇は あいつの唇」って表現、聞く人にすごく赤さの印象を強く残すのですね。
1行めは、こんなふうにすごくイレギュラーで、気の利いた表現です。
とすれば、lionfan2さんが注目されている5~6行めも同じ構図にならないでしょうか。
>とすれば、lionfan2さんが注目されている5~6行めも、同じ構図にならないでしょうか。(息継ぎ読点⑤)
改めて引用すると、5~6行めはこうでした。
男には 自分の世界がある たとえるなら
空をかける ひとすじの流れ星
それに対するlionfan2さんのまとめは、こうです。
でも、私はこうではないと見ています。
「流れ星」は例え話ではなくて、トピックのはず。
流れ星を見て、流れ星みたいな人を想起する、というような流れにならないと、1行めと対応が悪くなっちゃう!
>流れ星を見て、流れ星みたいな人を想起する、というような流れにならないと、1行めと対応が悪くなってしまいます。(文末を統一する⑥)
でもそうだとすると、流れ星のあとに例え話が出てくるはずです。
それなのに見当たりません。
どうして?
>どうしてでしょうか?(文末統一⑦)
存在しないのではありません。歌詞としては文字に起こされていないだけです。
「ひとすじの流れ星~♪」のあと、曲はこう続きます。
「ルパン ザ サード!」って。
これ、構図を描き直すとすると、こうです。
>これ、構図を書き直すと、こうなります。(なんとなく、口が回らない⑧)
「男には 自分の世界がある」の部分は、もはや比喩とは関係のない部分です。
それよりあとの部分だけで、比喩の世界は完結しているみたいなのです。
私は「流れ星」はトピック「ルパン ザ サード」が例え話、だと思います。
この歌詞は、こんなふうに、私たちの予想を裏切ったところに比喩があるからこそ、
ステキで素晴らしいのです。
しかもここで「流れ星」って言葉がチョイスされるのは、ほんとにセンス感じます!
>しかもここで「流れ星」って言葉がチョイスされるのは、ほんとにセンスを感じます。(厳密なてにをは⑨)
だって「流れ星」は1行めの「薔薇」と対比されているのですよ。
「薔薇」は動かないものだけど「流れ星」は動くもの。
「薔薇」は色を反射して美しいものだけど、「流れ星」は発光するから美しいもの。
>「薔薇」は光を反射して美しいものだけど、「流れ星」は光を発するから美しいもの。(対比分を厳密化⑩)
それに「薔薇」は見下ろすものだけど、「流れ星」はいつだって見上げるもの。
>それに、「薔薇」は見下ろすものだけど、「流れ星」はいつだって見上げるもの。(息継ぎ読点⑪)
「薔薇」と「流れ星」はふだんは対で考えたりしないものですが、
こうして対応させるために、よく練られたペアなのです。
この対応関係は意味の橋でもあります。
この質問の当初の趣旨は、意味の橋を探ることでした。
上記の対応関係が、私からの答えです。
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 動くもの )だ
だし、
>と言えそうです。また、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 輝くもの )だ
だし、
>と表現してもよいでしょう。さらには、
それは空を流れ落ちる、ひとつの流れ星のように( 見上げたもの )だ
です。
>とも言えそうです。(いちいち表記を変える方法を検討⑫)
でもこの歌詞の見どころは、もっと違うところにあると私は思ったのです。
>でも、この歌詞の見どころはもっと違うところにある、と私は思ったのです。(本多勝一流読点⑬)
この目に見えにくいくせによく練られた比喩の構図が、この歌詞の一番の見どころだと私は勝手に考えたのでした。
>この、目に見えにくい癖によく練られた比喩の構図がこの歌詞の一番の見どころだ、と私は勝手に考えたのでした。(本多勝一流読点⑭)
長文お読みいただきありがとうございました。
※ 無理に赤を入れると、こうなる感じです。しかし、ほとんどの部分は変更なしで問題ないです。むしろ赤を入れた方が気になるところもある。私の個人的見解をあえて入れるなら、読点を入れると「声を出して読みやすい」というところでしょうか。(①②④⑤⑧⑬⑭)
※※ 本多勝一流読点とは、文法に囚われずに自由裁量が可能な「読点」を用いて、さらに読みやすさを追求する手段のことです。詳しくは、「日本語の作文技術」を参照してください。
補足
味もそっけもない、ただの報告をするのなら。
「結論を先に書け」
です。事業部長への1分間プレゼンならこれ。
『この比喩の本質は、空を書ける一筋の流れ星はルパン・ザ・サードを指し示す、です。』
(理由はこれ以降に書きますが、暇なときに読んでください。)
しかし、事業部長が東京駅に着くまでの間に説明する必要は、ここではありません。
そこで、普通の論説文の構成ならば。
「小論文で推奨されるように、序論本論結論で構成する」
となります。
あてはめてみましょう。
序論:歌詞を考えるときには、3要素の比喩を使う。
本論:この歌詞は、通常の歌詞と比喩の構成が違う。
結論:この通常と違う構成なので、理解しにくいが心に訴えるものだ。
この構成に当てはまってる気がします。
たぶん、気にしてらっしゃるのは、「ちょっと長いかしら」と言う点ではないかと。
しかし、例示がわかりやすく、納得のいく説明の連続で、
「長さを感じさせない」
のです。これ、削るとかえって「熱さだけが薄まってしまい」かえって読む気力を失いかねません。
※構成については、問題ないと思います。
偉そうに書いてしまって申し訳ないです。
私にはこんな風に書けないなぁ、こんな書き方ができるようになりたいなぁ、と思いながら読んでました。
私は、いつも何か書いているときには、一通り書き終わったら「声に出して読んで」います。たいてい、なにか読みにくいところがあります。そこを直して「ほっておく」翌日読んでみて、恥ずかしいところを直す。
そんなことを「延々」やっています。
いえいえありがとうございます。
声に出して読み上げ、やってみます。
曲から歌詞を切り離して読んでいる私が
そんなことするなんて、なんだか変な感じですね…!
偉そうに書いてしまって申し訳ないです。
2014/08/02 07:53:10私にはこんな風に書けないなぁ、こんな書き方ができるようになりたいなぁ、と思いながら読んでました。
私は、いつも何か書いているときには、一通り書き終わったら「声に出して読んで」います。たいてい、なにか読みにくいところがあります。そこを直して「ほっておく」翌日読んでみて、恥ずかしいところを直す。
そんなことを「延々」やっています。
いえいえありがとうございます。
2014/08/02 11:43:05声に出して読み上げ、やってみます。
曲から歌詞を切り離して読んでいる私が
そんなことするなんて、なんだか変な感じですね…!