【人力検索かきつばた杯】#34→http://urx.nu/1bOm

「甘い、甘ーいもの」
「もの」に関しては砂糖やトマトなど物質的な物でも、恋やハートなど精神的な物を指していても構いません。
配点基準は「甘い、甘ーい」にちなんで甘い配点です。
甘いですが、「誤字脱字があるよ」ぐらいは言うと思います。
高ポイントの基準は「甘さ」を文章で表現できてること。(ただし、文章が誤字だらけとか推敲ができていないとかそういう意味ではない)
感想は希望者のみ。もちろん甘~いコメントです。
ちなみに元ネタはデトロイト・メタルシティの「甘い恋人」です。
http://www.youtube.com/watch?v=ynTz88jku2s
http://www.youtube.com/watch?v=vAEXXESZ-BY
「もの」が何かを考えるのが面倒臭い人は元ネタのパクリでもいいです。
文章苦手な人はあらすじ風ストーリーでも可
(例
http://q.hatena.ne.jp/1345602541#a1164048
修正履歴は採点に影響しないとか、そんなことは言いません。
自分が納得するまで修正してください。
誰にでもミスはありますので一発勝負でなくてもいいと思います。
ただし、複数回答で修正されると読む方も大変なので回答は一回までとします。

回答の条件
  • 1人1回まで
  • 登録:
  • 終了:2012/10/09 06:53:02
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ベストアンサー

id:garyo No.2

回答回数1782ベストアンサー獲得回数96

ポイント117pt

『甘い○○』


胃の中に苦いものがこみ上げてくる。これで何度目だろうか。
江戸は目の前のデザイン画を見て思った。

f:id:garyo:20121008214637p:image

「部長、クライアントから『この条件では納入仕様を満たさない』と」
レポートを読み終えた弓香はいたずらっ子のよう微笑んだ。
「いかがいたします?」
江戸はデスクで頭を抱えた。
「無理です。物理的に不可能です!」
「江戸さんなら何とかできますよ」
弓香は後ろから肩を抱き耳元に囁いた。
「何度も同じようなことを乗り越えてきましたよね」
「でも・・・・・・」江戸は叱られた子供のように「これはひどすぎますよ!」
とため息をついた。
「『見えない赤い糸』で編んだパンティだなんて・・・・・・」


話は数日前に遡る。
「緊急の呼び出しって?」と
廊下を歩いていた江戸は弓香に聞いた。
「詳しいことは直接話すと・・・・・」
コンコンッ
「失礼します」会長室のドアをノックした。
「伸介か。待ってたぞ」デスクから顔を上げ両手を広げる会長。
「今度はどんな仕事ですか?」
「やっかいな仕事でな・・・・・・」
会長は話始めた。

「依頼主は重要顧客の娘なんじゃよ」
「はぁ」
「顧客が娘の約束を破ってへそを曲げられて、何でも言うことを聞くといったら『パンティが欲しい』と・・・・・・」
「ちょっと!」
ドンと弓香は会長の机を叩くと身を乗り出した。
「な・ん・で 江戸さんが親子ゲンカにかかわらないといけないわけ!」
「まあ待て、落ち着け。その娘には不思議な力があってな」
会長はハンカチを取り出し汗を吹きながら説明した。
「予言の力、プレコグニションと言ったかの。予知能力があってな」
「本当?」
「わしも信じられんが、顧客は裏世界に通じておってな。娘の力で勢力を伸ばしたらしい。嘘か本当かは知らんが裏社会でかなりの実力者であることは間違いない」
「そんなことはどうでもいいですよ」江戸はにこやかな笑顔で言った。
「依頼内容は?」
「・・・・・・へそをまげた娘が無理難題を吹きかけたんじゃ」
会長は遠くを見つめて言った。
「『見えない赤い糸』で編んだパンティが欲しいと」
「はい?」
「何ですか?」
弓香と伸介は同時に叫んだ。
「無理難題とは思っとる・・・・・・が、重要顧客からの依頼なんじゃ。何とか頼む」
会長はデスクに頭を下げた。
「無理ですよ。ねっ」と弓香は振り返って江戸を見つめた。
「・・・・・・難問ですね。創作意欲を掻き立てられます」腕組みをする江戸。
「江戸さん・・・・・・無理です!無理ですってば!」


・・・

「無理ですよね。見えるけど見えない素材って」
江戸はため息をついた。
「NASAやアメリカ国防省のブレットさんに聞いてもあきれてたし・・・・・・」
「無理っていったでしょ」
弓香はコーヒーを江戸のデスクに置いた。
「・・・・・・こんな時は初心に帰るといいかも」
「初心ですか・・・・・・」
江戸は椅子にもたれかかって天井を見上げた。
「そうか!」
江戸は立ち上がると弓香の手を握った。
「やっぱりボクには現場・現物・現実が似合ってます。
机でいくら考えても何も浮かびません」
「えっいい考えが?」
「浮かびませんが」江戸は爽やかに微笑んだ。
「依頼主にあってみます。話はそれからです。アポをお願いします」
「はい・・・・・・」

・・・

「依頼主のホテルですか」タクシーから降りた江戸は弓香に聞いた。
「ええ、フロントで聞いてみますね」
黒ずくめのボディガード風の男たちが出てきた。
「すまないがディチェックをさせて頂く」
「ずいぶん物々しいですね」江戸は弓香に囁いた。
「重要人物なんですよ。きっと」弓香も小声で答えた。
黒服達はドアをノックした「ボス、江戸様をお連れしました」
「入って」
中には16歳くらいのお嬢様がソファに座って書物をしていた。
「父から仕事の依頼が入ってて・・・・・・ごめんね。話は手短に」
「初めまして、江戸といいます。秘書の若宮です」江戸は紹介しながら会釈をした。
「モノはいつ入るの?」
「ご要求がご要求なので」江戸は苦笑いした。
「希望納期の来月の16日には間に合わせたいと」
「そう」
お嬢様は意地悪そうな微笑を浮かべた。
「16日か・・・・・・16っていい数字、暖かくてほのぼのするわ。17はダメよ!冷たくて陰気な感じがするもの!」
「善処します」
「絶対よ。約束破ったら何が起こっても知らないからね」
ドアを閉めて外にでて
「変わってるわね」と弓香。
「才能を持ってると感覚が違うのかな」
「・・・・・・普通の人とは違う感覚・・・・・・か。ヒントになるかも!」
「仕事も終わったし食事に行かない?」
「すみません。会社で確認してみます。もう一度アポお願いします」
頭を下げて立ち去る江戸。
「もぅ。江戸さんったら・・・・・・」悔しがる弓香。


数日後、ホテルに向かう江戸と弓香。
「大きなバックね」
「秘密兵器です」江戸は微笑むと「内緒です。弓香さんにも見せれないので、一人で顧客に会います」
「大丈夫?」「心配しないでください」
黒服にホテルの一室に案内される。
「一人で行きますから部屋の外で待ってて下さい」
部屋に入るとお嬢様は書類を書いていた。
「用事は何?」となげやりなお嬢様。
「お客様の生の声を聞くのが一番だと思い色見本をお持ちしました」
江戸はバックの中から布を取り出すと腕にかけて広げた。
「どうでしょうか?」
「趣味じゃないかな。地味だもの」
「これはどうですか?」
お嬢様が興味を惹かれたようだ。
「・・・・・・いいかも。淡いピンクというか赤かな。好きよその色」
「ありがとうございます」江戸は深々と頭を下げると部屋から出て行った。



約束の16日、江戸は関係者をホテルの一室に集めた。
「大丈夫か、心配で夜も眠れんかった」と会長。
「未だに信じられないのだが」と不審げな依頼主の父親。
「大丈夫・・・・・・だと思います。江戸さんですから」と自信なさそうな弓香。
「任せてくださいよ。お嬢様を呼んでください」と江戸。
「お願いがあります。何が起こっても『絶対』声を出さないでください」

ドアを開けてお嬢様が現れる。
「本当にできたの?」
「これを見てください」
江戸はアタッシュケースを開いてお嬢様に見せた。
「見せてもらったやつね。普通の下着に見えるけど?」
「着てみてください。フィッティングしますので、あちらにどうぞ」
「着るの?いやよ」
「そういわずに」とお嬢様の背中を押しながら別室に行く江戸。

「えっイヤ」「やめて」という声が微かに聞こえてくる。
「それではどうぞ」ドアを開いて江戸が会釈する。
ぼーっと頬を赤らめてふらふらしながらお嬢様が現れる。

「!」息を呑む一同。会長は慌てて口を手で押さえた。
「た・・・確かに、とても気持ちがいいけど・・・」お嬢様はぼぉっとして江戸を見つめて
「どんな秘密があるの?」

「ヒントはお嬢様にお会いした時に得ました」と江戸。
「数字を見て好きとか嫌いとか、違和感を感じたんです。『共感覚』はご存知ですか?」

「共感覚?」お嬢様は小首をかしげた。
「数字を見て色を感じ、音を聞いて色を感じる。『黄色い声』といいますが、実際に黄色に見えるわけではないですよね」
「ええ」
「本当に音を聞いて色を感じる人がいるのです。極わずかですが」
「確信したのは色見本を持っていった時です」
「?」
「本当は透明な布だったんです。目に見えない小さなスピーカーから違う音を出していました。気にいられたのはドミナントの和音を出している布でした」
お嬢様ははっと気がついた。

「・・・・・・まさか」
「はい」江戸は無邪気な笑顔で
「この下着も透明です。色がついているように見えると思いますが」

f:id:garyo:20121008222304p:image

お嬢様は耳まで真っ赤になった。
「なんてモノ着させるのよ!!!」
「『見えない赤い糸』で編んだパンティです。他の人には見えないけど、あなたからは赤く見える。お気にめしましたでしょうか」


Fin

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id:maya70828

ハダカの王様を思い起こさせるようなオチでした。そんな素材のパンツが履いてみたいものです。ちなみにこのパンツは男性用もあるんですよね?是非開発して欲しい物です。

2012/10/08 17:57:44
id:garyo

http://gadget.itmedia.co.jp/gg/articles/1210/09/news130.html
今更ながらこんなネタを見つけました

2012/10/10 22:03:58

その他の回答6件)

id:ikikkbai No.1

回答回数3ベストアンサー獲得回数0

これ・・・あなたが!? す、すごっ!!
これ採しないでもいいよ!!

この曲なんだかさわやかなきょくだね!! ww

id:maya70828

今回は甘い採点ですけど明らかに回答になってないのでポイントなし。

2012/10/02 19:06:16
id:garyo No.2

回答回数1782ベストアンサー獲得回数96ここでベストアンサー

ポイント117pt

『甘い○○』


胃の中に苦いものがこみ上げてくる。これで何度目だろうか。
江戸は目の前のデザイン画を見て思った。

f:id:garyo:20121008214637p:image

「部長、クライアントから『この条件では納入仕様を満たさない』と」
レポートを読み終えた弓香はいたずらっ子のよう微笑んだ。
「いかがいたします?」
江戸はデスクで頭を抱えた。
「無理です。物理的に不可能です!」
「江戸さんなら何とかできますよ」
弓香は後ろから肩を抱き耳元に囁いた。
「何度も同じようなことを乗り越えてきましたよね」
「でも・・・・・・」江戸は叱られた子供のように「これはひどすぎますよ!」
とため息をついた。
「『見えない赤い糸』で編んだパンティだなんて・・・・・・」


話は数日前に遡る。
「緊急の呼び出しって?」と
廊下を歩いていた江戸は弓香に聞いた。
「詳しいことは直接話すと・・・・・」
コンコンッ
「失礼します」会長室のドアをノックした。
「伸介か。待ってたぞ」デスクから顔を上げ両手を広げる会長。
「今度はどんな仕事ですか?」
「やっかいな仕事でな・・・・・・」
会長は話始めた。

「依頼主は重要顧客の娘なんじゃよ」
「はぁ」
「顧客が娘の約束を破ってへそを曲げられて、何でも言うことを聞くといったら『パンティが欲しい』と・・・・・・」
「ちょっと!」
ドンと弓香は会長の机を叩くと身を乗り出した。
「な・ん・で 江戸さんが親子ゲンカにかかわらないといけないわけ!」
「まあ待て、落ち着け。その娘には不思議な力があってな」
会長はハンカチを取り出し汗を吹きながら説明した。
「予言の力、プレコグニションと言ったかの。予知能力があってな」
「本当?」
「わしも信じられんが、顧客は裏世界に通じておってな。娘の力で勢力を伸ばしたらしい。嘘か本当かは知らんが裏社会でかなりの実力者であることは間違いない」
「そんなことはどうでもいいですよ」江戸はにこやかな笑顔で言った。
「依頼内容は?」
「・・・・・・へそをまげた娘が無理難題を吹きかけたんじゃ」
会長は遠くを見つめて言った。
「『見えない赤い糸』で編んだパンティが欲しいと」
「はい?」
「何ですか?」
弓香と伸介は同時に叫んだ。
「無理難題とは思っとる・・・・・・が、重要顧客からの依頼なんじゃ。何とか頼む」
会長はデスクに頭を下げた。
「無理ですよ。ねっ」と弓香は振り返って江戸を見つめた。
「・・・・・・難問ですね。創作意欲を掻き立てられます」腕組みをする江戸。
「江戸さん・・・・・・無理です!無理ですってば!」


・・・

「無理ですよね。見えるけど見えない素材って」
江戸はため息をついた。
「NASAやアメリカ国防省のブレットさんに聞いてもあきれてたし・・・・・・」
「無理っていったでしょ」
弓香はコーヒーを江戸のデスクに置いた。
「・・・・・・こんな時は初心に帰るといいかも」
「初心ですか・・・・・・」
江戸は椅子にもたれかかって天井を見上げた。
「そうか!」
江戸は立ち上がると弓香の手を握った。
「やっぱりボクには現場・現物・現実が似合ってます。
机でいくら考えても何も浮かびません」
「えっいい考えが?」
「浮かびませんが」江戸は爽やかに微笑んだ。
「依頼主にあってみます。話はそれからです。アポをお願いします」
「はい・・・・・・」

・・・

「依頼主のホテルですか」タクシーから降りた江戸は弓香に聞いた。
「ええ、フロントで聞いてみますね」
黒ずくめのボディガード風の男たちが出てきた。
「すまないがディチェックをさせて頂く」
「ずいぶん物々しいですね」江戸は弓香に囁いた。
「重要人物なんですよ。きっと」弓香も小声で答えた。
黒服達はドアをノックした「ボス、江戸様をお連れしました」
「入って」
中には16歳くらいのお嬢様がソファに座って書物をしていた。
「父から仕事の依頼が入ってて・・・・・・ごめんね。話は手短に」
「初めまして、江戸といいます。秘書の若宮です」江戸は紹介しながら会釈をした。
「モノはいつ入るの?」
「ご要求がご要求なので」江戸は苦笑いした。
「希望納期の来月の16日には間に合わせたいと」
「そう」
お嬢様は意地悪そうな微笑を浮かべた。
「16日か・・・・・・16っていい数字、暖かくてほのぼのするわ。17はダメよ!冷たくて陰気な感じがするもの!」
「善処します」
「絶対よ。約束破ったら何が起こっても知らないからね」
ドアを閉めて外にでて
「変わってるわね」と弓香。
「才能を持ってると感覚が違うのかな」
「・・・・・・普通の人とは違う感覚・・・・・・か。ヒントになるかも!」
「仕事も終わったし食事に行かない?」
「すみません。会社で確認してみます。もう一度アポお願いします」
頭を下げて立ち去る江戸。
「もぅ。江戸さんったら・・・・・・」悔しがる弓香。


数日後、ホテルに向かう江戸と弓香。
「大きなバックね」
「秘密兵器です」江戸は微笑むと「内緒です。弓香さんにも見せれないので、一人で顧客に会います」
「大丈夫?」「心配しないでください」
黒服にホテルの一室に案内される。
「一人で行きますから部屋の外で待ってて下さい」
部屋に入るとお嬢様は書類を書いていた。
「用事は何?」となげやりなお嬢様。
「お客様の生の声を聞くのが一番だと思い色見本をお持ちしました」
江戸はバックの中から布を取り出すと腕にかけて広げた。
「どうでしょうか?」
「趣味じゃないかな。地味だもの」
「これはどうですか?」
お嬢様が興味を惹かれたようだ。
「・・・・・・いいかも。淡いピンクというか赤かな。好きよその色」
「ありがとうございます」江戸は深々と頭を下げると部屋から出て行った。



約束の16日、江戸は関係者をホテルの一室に集めた。
「大丈夫か、心配で夜も眠れんかった」と会長。
「未だに信じられないのだが」と不審げな依頼主の父親。
「大丈夫・・・・・・だと思います。江戸さんですから」と自信なさそうな弓香。
「任せてくださいよ。お嬢様を呼んでください」と江戸。
「お願いがあります。何が起こっても『絶対』声を出さないでください」

ドアを開けてお嬢様が現れる。
「本当にできたの?」
「これを見てください」
江戸はアタッシュケースを開いてお嬢様に見せた。
「見せてもらったやつね。普通の下着に見えるけど?」
「着てみてください。フィッティングしますので、あちらにどうぞ」
「着るの?いやよ」
「そういわずに」とお嬢様の背中を押しながら別室に行く江戸。

「えっイヤ」「やめて」という声が微かに聞こえてくる。
「それではどうぞ」ドアを開いて江戸が会釈する。
ぼーっと頬を赤らめてふらふらしながらお嬢様が現れる。

「!」息を呑む一同。会長は慌てて口を手で押さえた。
「た・・・確かに、とても気持ちがいいけど・・・」お嬢様はぼぉっとして江戸を見つめて
「どんな秘密があるの?」

「ヒントはお嬢様にお会いした時に得ました」と江戸。
「数字を見て好きとか嫌いとか、違和感を感じたんです。『共感覚』はご存知ですか?」

「共感覚?」お嬢様は小首をかしげた。
「数字を見て色を感じ、音を聞いて色を感じる。『黄色い声』といいますが、実際に黄色に見えるわけではないですよね」
「ええ」
「本当に音を聞いて色を感じる人がいるのです。極わずかですが」
「確信したのは色見本を持っていった時です」
「?」
「本当は透明な布だったんです。目に見えない小さなスピーカーから違う音を出していました。気にいられたのはドミナントの和音を出している布でした」
お嬢様ははっと気がついた。

「・・・・・・まさか」
「はい」江戸は無邪気な笑顔で
「この下着も透明です。色がついているように見えると思いますが」

f:id:garyo:20121008222304p:image

お嬢様は耳まで真っ赤になった。
「なんてモノ着させるのよ!!!」
「『見えない赤い糸』で編んだパンティです。他の人には見えないけど、あなたからは赤く見える。お気にめしましたでしょうか」


Fin

他1件のコメントを見る
id:maya70828

ハダカの王様を思い起こさせるようなオチでした。そんな素材のパンツが履いてみたいものです。ちなみにこのパンツは男性用もあるんですよね?是非開発して欲しい物です。

2012/10/08 17:57:44
id:garyo

http://gadget.itmedia.co.jp/gg/articles/1210/09/news130.html
今更ながらこんなネタを見つけました

2012/10/10 22:03:58
id:sokyo No.3

回答回数1377ベストアンサー獲得回数97

ポイント41pt

『バケツを蹴る』


バケツは掬うものであり、掬うものはすなわち救うものだと思っていた。


やっとのことで家に帰ると、玄関の姿見に背広を着た老人が立っていた。
「貴方は誰だ。マスコミなら帰ってくれ。」
私は言った。老人は姿を消した。
しかし、部屋に入ると何処か様子がおかしい。点いていない筈のテレビが騒がしいような。
よく見ると、黒い画面の中に先の老人が居る。私が思うよりずっとやつれている。
曰く、「誤審をなくしていくためにどうしたらよいのでしょうか。専門家に伺います。」
曰く、「次回の国民審査にはかつてなく注目が集まっています。街の声を聞きました。」
曰く、「国民との意識乖離を解消するには、ベースにある裁判官個人の甘えをやはり、」
曰く、「私ね、これは執行猶予じゃ甘いって、ずうっと思ってたのよねぇ。やっぱり、」


「この甘ったれが!」


気付けば老人は、私のすぐ後ろに立っていた。
一体この老人は誰なんだ。妻は、娘は、何処へ行ったのだろう。
「二人には先に発ってもらった。お前もすぐに追いつけるさ。」
何故私の考えが分かるのだ。
「なあに、簡単なことさ。」
にやりと笑ったその顔を、私は何処かで見たことがある筈だ。
「ところでこれは。良い鴨居ではないか。」
老人は襖の上の横木に目を遣った。
「何を企んでいる。」
「ここなら、相応の重みにも耐えられる。」
老人は長い縄を持っていた。靴紐を結ぶような手際でそれを鴨居へ結び付けた。
私は、甘い黒い輝きを直視できない。
直視できないのに、目を離せない。
「甘かったと思うか。自分の、人生は。」
老人は問う。
「自分」というのが老人自身を指しているのか、私を指しているのか、分からない。
人生が甘かったのかも分からない。
ただ、今考えていることは、おそらくとても


甘い。


老人はバケツを手にしていた。
私は促されるまま、それに乗った。
外がうるさい。
「お前の疑問に答えてやろう。」
老人は、勿体ぶって言う。
「俺は、お前だ。」
そうだった。


バケツを蹴った。

id:maya70828

甘いからほんわかした話がくると予想していたけど、その斜め上を言った感じです。近頃、京さん風味の話が流行っているのかなと思ったりしました。

2012/10/08 18:11:22
id:sanada33 No.4

回答回数293ベストアンサー獲得回数3

なごみますね

id:maya70828

すいません。感想はコメントに。

2012/10/07 17:33:15
id:gm91 No.5

回答回数1091ベストアンサー獲得回数94

ポイント41pt

『このテイストがいいね、と君が言ったから10月7日はバケツ記念日』


「ざっけんじゃねえ!」

 俺は、足元にあったアルミのバケツを力任せに蹴っ飛ばした。
 ガンガラガン、と派手な音を立ててラーメン屋の床を転がるバケツ。 
 実害がない割りに威嚇効果は高い。店内に居る客が即座に凍りつく。

「借りた金は返すのが当たり前だろうよ、ああ?」
「し、しかし今は手持ちが……」
「しらねえよ、いつできるんだ?金」
「こ、今月中には必ず……」
「今週中だ。でなきゃまた来るぜ」

 自分で言いながら胸糞が悪くなる。俺が人の生き血を啜るしか能のないダニ野郎だってことを思い知らされる瞬間だ。
 もっとも、俺が貸した金じゃない、俺は貸し手に雇われて嫌がらせに来ただけで、その分の「報酬」は既に受け取ってある。ここでナケナシの金をせびったって恐喝でお上にパクられるだけで何も良いことはない。
 それに、こいつらにも生活ってもんがある、客の入りもまあ悪くねえ。
 商売道具に傷をつけるのは最低限にしてやるのが俺の流儀だ。
 おおかた博打で下手打って、タチの悪い業者に目をつけられてるってとこだろうが、地道にやってりゃ返済だってできるだろう。そっから抜け出すかどうかはコイツ次第だ。俺と違ってな。

 ――俺が15の時、くそ暑い夏の日だった。
 帰宅した俺を待っていたのは首を吊った親父の死体だった。
 俺たちは、広島から転勤してきたクチだったが、西との戦争が始まると親父は西の出身だってことで職場を追われ、その後もまともな仕事にありつけなかった。母親は別の男を見つけてどこかに消えた後、親父は酒浸りになって一日中家に居た。

 俺は一応中学を卒業したことになっているらしいが、最後の方はロクに通ってなかったから詳しいことはわからねえ。
 とにかく食う為にできる仕事はなんでもしたが、どこも長続きしなかった。半端モノと蔑む目に耐えられず自分から逃げ出すことも何度かあった。
 羽振りのよさそうなヤクザの所に転がり込むまでにそう時間はかからなかった。

 チンピラ稼業の良いところは人に好かれなくても勤まるってとこだ。 
 ケンカ以外に何も芸が無い俺は、適当に折り合いつけて生きていくしかねえ。

 そんな事を考えながら表通りをブラついていると、不意に呼び止められた。
「おい、ちょっと兄さん」
「んだコラ?」
 俺が振り向く間もなく、肩を掴まれる。身動きが取れねえ。
(くそっ、なんて馬鹿力だ)
 とにかく一旦離れようともがいている内に、鳩尾に一発くらってそのまま意識が飛んだ。


 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

 ――目が覚めたら留置所に居た。
(一体何だってんだ、抗争相手の組のモンがわざわざ警察へ運ぶわけもねえ)
 俺がわけがわからずにいると、看守が呼びに来た。

「おい、出ろ」
(勝手にブチこんでおいて出ろたあ、ずいぶんご挨拶だな)

「身元引受人が来た」
「?」
 心当たりがまるで無い。……誰だ?
 ウチの組にそんな気が利くやつはいねえはずだ。まあそんな事はどうでもいい。
 それよりも……
 (しかしあの野郎、今度見つけたらただじゃおかねえ)
 ヤクザ、ことに俺のようなチンピラはナメられたらオシマイだ。
 
「身元引受人の大山です」
「ご苦労様です」
「あ、お前!」
 思いがけない再会に正直度肝を抜かれたが、俺を叩きのめした本人がお出迎えとはどういう了見だ。
 ……いや、大事なのはそこじゃない。 
 部下らしい屈強な男たちを三人従えた大山は、上背こそ俺と変わらないが、何か得体の知れない威圧感を醸し出していた。穏やかな笑顔の中でも眼だけは笑ってねえ。
 それに、4対1じゃ勝ち目はねえ。俺は負けるケンカは嫌いだ。

「どこに連れて行く気だ?」
「いいから黙って付いて来い」
 ほぼ強制的に車に乗せられた俺は、くたびれた焼肉屋の前で降ろされた。
 他に客も居ないようで、ガランとした店内を見て、ずいぶんシケた店だな、と思ったのが伝わったのか大山がボソっとつぶやいた。
「心配要らん、今日は俺の貸切だ」
(ほんとかよ)

「遠慮は要らん、好きなもんを食え。お前らもいいぞ」
「よっしゃぁ!」「さっすが隊長!」
 大山の連れの3人は、手当たり次第に肉と酒を頼み出す。遠慮の欠片も無い。

「いいのかよ?酔っ払った隙に逃げ出すかも知れないぜ」
「好きにすればいい、素人に遅れを取るような間抜けはウチには居らん」

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

「あんたのオヤには昨日の内にナシつけてある。かなり持て余していたんだろう、二つ返事で了解くれたぜ」
「勝手なことするんじゃねえ」
「ヤクザに戻りたきゃ無理には止めないが」
 ……俺も別にヤクザに未練はない。

「チンピラからスカウトってか、軍隊もいよいよ人手不足だな」
「否定はせんよ、でどうする?他に行く宛があるのか?」
「……」
「いつまでもチンピラのまま燻っていても仕方が無いだろう?」
「アンタに何が分かる!
 西の出身だっていうだけで爪弾きされ、碌に勤め先も見つからねえ。
 俺みたいな半端モンがここで生きていくには、チンピラでもするしかねえんだよ。
 お前らが勝手に戦争なんておっぱじめなけりゃ俺もこんな目には会わずに済んだんだ」

「世間が悪い、ってわけか」
「そうさ」

「甘ったれんじゃねえ!」
 店の安普請がビリビリと震えるような大声で一喝され、俺と奴の部下は文字通り飛び上がった。

「人様のせいにしてるウチは何も変わりゃしねえよ、手前の生き様は手前で決めろよ」
「せ、先公みてえなキレイ事言いやがって」
「キレイ事で済ますかどうかは手前次第よ」
(うるせえ、そんなにうまく行きゃ苦労はしねえ)
 そう口に出しかけたが、何だか自分でも自信が持てなくて、口を開くことを躊躇した。
 俺が怯んだことに気が付いてか、ニッと笑って大山は言葉を続けた。

「東だ西だって、このくだらねえ戦を1分でも早く片付けるのが俺の仕事よ。
……どうだ、一緒に手伝わないか」
 熱っぽく語る大山の眼に偽りがないことは俺にもよくわかった。
 こいつは、これまで俺の周りに居たクズどもとは何かが違う。

「それで飯が食えりゃ世話ねえよ」
 俺は、精一杯の抵抗を試みたが、悪態をつくくらいしか俺に出来ることは無かった。
「俺について来りゃ、飯の心配はしなくていい。明日7時に迎えに来る。返事はその時に聞こう」 
 俺は、酒のせいか何かにすがりたい気持ちで胸が一杯になったが、部屋に戻るまではなんとか涙を堪えた。

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

 翌朝、俺は物々しい足音に眼を覚ました。
 人数にして5人は居るだろう、ごっつい靴の足音がボロアパートの廊下に響く。

「時刻確認!」
「0655」
「時刻よし!」
 間髪入れずに激しくノックされる俺の部屋のドア。

「何だよ?うるせえな」
「笹生克也だな?」
「ああ」
「確認完了!これより駐屯地へ帰還する!」
「了解!」

 押しかけた連中にあっという間に拘束され、俺は有無を言わさず駐屯地へ連行された。もっとも俺にも、抵抗する気なんか無かったが。
 
 俺の人生はこの日を境に大きく変わり始める、何の根拠もないが何故かそんな気がした。


(了)

他2件のコメントを見る
id:maya70828

ヤクザの世界に入ったことないので、事情はよく分らないですが最近のヤクザは情がない感じだと思いました。その辺の事情を俺の自分勝手な行動から推察できますね。大山は彼のどこら辺に気に入ったのか少し気にはなりましたが、その筋の人の事の思考はよく分らないので何とも言えないと思いました。

2012/10/08 19:25:17
id:gm91

あくまでフィクションですので・・・(^^;

>大山は彼のどこら辺に気に入ったのか
なるほど、ここは今後の作品で描写していくようにします。

ありがとうございます。

2012/10/08 20:36:57
id:misato385 No.6

回答回数59ベストアンサー獲得回数9

ポイント41pt

 ウィルオウィスプは水の中。子供の心は神の許。父なる神の声を聴けずに水に溺れる魂は、眼からの涙は見えないけれど、心の涙の音がする。それはせせらぎ、さざなみ。

 空を白魚が泳いだら、それはそれは美しいだろう。飛行機雲と交わりながら、流れ星を追いかけながら、白魚が泳いだら、誰もが見惚れるだろう。
 アルトは川の上、橋の上に居た。川は綺麗な川だったから、空がまるっきり同じように映っていて、首が疲れなくてすむかしらんとずっと下を向いていた。隣には友人のデュークが立って居た。デュークはアルトと逆の上を向いていて、星や月の光るさまをその翠の瞳に焼き付けていた。二人はそうしてずっと、半刻ぐらいそれぞれの目に景色を映しては、ずうっと黙って立って居た。
 星も月も冷たい息を吐いていたけれど、川はあたたかく輝きをお返しして、遠くからは蛍の明かりが近づいている。肌寒いからと二人が羽織っているカーディガンは、闇に溶けて色も分からない。月は三日月だ、夜道を照らせるほどの明るさはなかった。星が満足そうに、あまり光れない月の隣でぴかりと光って見せた。青白い顔は優越感で醜く歪んで見えた。
 「デュークは首は痛くはないの?」
 「痛くはないよ、だってお星様を見るのに必死なんだもの」
 「こんなに沢山の明かりがあったら、夜も怖くないのかね」
 「お家は屋根があるから、小さい子は怖がるのかもしれないな」
 空を海月が泳いだら、それはそれは美しいだろう。昼の月に被さって、星雲の輝きを纏って、海月が泳いだら、誰もが心惹かれるだろう。
 もう深夜の川原には、蛙の声が高潮のように押し寄せる。大演奏会を開いた蛙たちの音楽にとっぷりと浸かりながら、二人はまだ橋の上から動かなかった。親が寝静まってから抜け出したのだから、まだ帰る必要はなかった。遠くに浮かぶ街明かりももう殆ど吹き消されてしまって、蝋のような甘い香りが風に乗って訪れる。まだ月は空に居た。星はいくつか眠りについたものもあれば、ようやく目を覚ましたものもあった。
 川面に映る光が幾つかふわっと舞って、アルトの金の巻き毛に、デュークの赤い睫毛に纏わりついた。二人はそれを蛍と思って優しく撫で払う。ぱっと広がってアルトの髪が、デュークの瞳がキラキラと光り始めた。二人はお互いの姿を見て驚いたけれど、それを綺麗だなとまじまじと見つめ合った。夜の空気に光は柔らかな風を作り出す。さらさらと川の音がする。
 「君の髪、まるで彗星の尾のようだ」
 「君の瞳、まるで翠玉の塊のようだ」
 「この光はウィルオウィスプかい?」
 「にしては数が多いようじゃない?」
 空を泳ぐ魚は居ない。空を泳ぐ魚が居たって、人は皆慣れてしまって上を見ない。美しいのはきっと全てのもので、何もなくてもそれが美しいになるのなら、空は今でも美しいままだ。けれど飽きというのは人の心を鈍い鉛にさせてしまう。誰もが新しさを求めてる。誰もが異常を求めてる。それを外に出せないことが、子供の心を飢え死にさせる。
 二人は光を撫でて、沢山沢山増やしていく。やがて全部がぴかぴか光るようになると、空も飛べそうなくらいの幸せと、まわりが見えない淋しさで心がいっぱいになった。自分の光でかげってしまう煌めきたちに哀しくなって、心がぽろりと涙を零す。涙は光を溶かして消える。じゅわっと音がして、ほんの少しの間だけだった時間が終わりを告げた。
 輝いている間の淋しさと哀しさは大きくて、一瞬で心が悲鳴を上げていた。ほんの少しの間だった。すぐに消えた光に二人は何も感じなかったけれど、川面に帰った光は暗くなったようだった。心の涙は吐きそうなくらい、甘い甘い味がした。二人は手を繋いで、川面を歩くことにした。水の音のあと、冷たい牙が体に食い込む。ぎゅっと繋いだ手が凍りそうに冷たい。
 「僕らは何処から来たのだろうか」
 「僕らは此処から来たのだろうか」
 「これは帰り道であっているの?」
 「これは帰り道なのかもしれない」
 魚は水に潜って居る。泡を吐かずに潜って居る。人は水に潜って居た。泡を吐かずに潜って居た。泡を吐き出せば魚に戻れるだろうか。泳ぎ方を思い出すだろうか。いつか地の底で眠るまで、魚は水に抱かれて生きる。いつか地の底で眠るまで、人も水に抱かれて生きることができるだろうか。ウィルオウィスプは泣いていた。水の音は木霊せず、ぷつりと音は途絶えたけれど。

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id:misato385

感想御願致します。(前回同様どなたでも良いです)
甘さは…うーん、蜜入り林檎くらいかな。
甘いの苦手なんです。

2012/10/08 12:43:09
id:maya70828

詩のような描写がメインの文ですね。少し宮沢賢治の「クラムボンは笑っているよ~」を思い出しました。幻想的でほんわかしてる中に悲しい面を書いているのが良かったです。

2012/10/08 19:40:32
id:yam3104 No.7

回答回数499ベストアンサー獲得回数25

ポイント77pt

むかーしむかし、ヒマラヤにあったという村のおはなし。

そこは、山の奥深くに位置する貧しい村だった。その南には、華々しい文明が栄えていたが、この村はその恩恵を受けられずにいた。

そんな場所に、毎年やってくる季節の変わり目がやって来ようとしていた。ある老人が空を見て言う。

「おい、そろそろ雨の季節になるんじゃないか」
「え?まだ早いだろ爺さん。」

この地域の季節は大きく分けて二つ、天気が安定するも水不足になりがちな乾季と、恵みの雨をもたらすも嵐と洪水が脅威となる雨季である。

老人の言う通り、数日後に雨は降って来た。だがそれは、例年の雨とは違っていた。

「なんだ、この雨、甘いぞ。おい、ちょっと外に出て見ろ!」
「何だよ父ちゃん、雨が甘いだなんて、そんな事…本当だ、甘い!それに何だか、いい香り?」

そう、降って来たのは、ほのかに甘く香る雨だった。これには村人たちは戸惑いを隠せない。いつにない天啓と捉えて祈りを捧げる老人、少し甘いくらいでいつもの雨と変わらないと嘯く若者。料理に使えるかもと言って器に貯めだす婦人。

更に頭の切れる者は、器と言わず大きな瓶に貯め込んだ。数日間降り続いた雨は、瓶いっぱいに貯まった。そのガラの悪い男は、これを持って山を降りると言いだした。南の文明人の下へ売り込みに行く、と。もちろん周囲は反対したが言う事は聞かぬ性分のこの男、結局断行した。しかも、手下と称した若い男数人を引き連れて。

10日ほどして、手下の一人が村に帰ってきた。水売りの同行に懲りて帰ってきたと思いきや、飛び出してきたのは思わぬものだった。

「山のふもとで出会った商人が、雨水を買ってやってもいいって」

また彼によると、水売りの男は村の池の水を汲むように指示したという。あの『甘い雨水』を、純粋ではないが含んではいるので、それなりの値がつくからと。村人たちは半信半疑ながら、言われた通り実行した。

更に1カ月経ったころ、残りの手下たちが帰ってきた。そこには村では見た事もないような金銀財宝が山のようにあった。

「これってまさか、あの水の…」
「ああそうさ、思ってた以上の成果だ。驚いたよ。文明人様が、俺らみたいなのに喰いついてくるんだからさ。おっ、これは言われた通りの事、やってくれたのかい。きっとまた売れるぜ」
「それだけじゃない、向こうにはこの村の事をしっかり伝えてあるからよ、これからどんどん人が来るぜ」
「じゃぁ帰ってきてないアイツは」
「なんか交渉って言って、あっちに残っちまったよ」

確かにこの後、大量の人が押し寄せてきた。『幻の甘水の産地』という噂が瞬く間に広まっていたのだ。そして『幻の甘水』と引き換えに、大量の貴重品が村に入り、かつてない豊かさがもたらされた。

だがそれも、一時の出来事に過ぎなかった。

『甘い雨水』とて限りがある。池は元々の濁りを含んだ水となってしまった。村で唯一の特産品は、瞬く間に尽きてしまったのだ。そこへ追い打ちを掛けるように本格的な雨季がやってきた。このとき降った雨は、もちろん甘くもなんともなく、しかも例年以上の豪雨だった。得られた物品のかなりが流され、タダでさえ悪い交通の便は完全に断たれ、村は孤立してしまった。この孤立は今までとは比べ物にならない重い事態となった。

一方で、文明人へと渡った『甘い雨水』は入手困難となり、偽物が出回るようになっていった。「甘い雨水など存在しない」という声まで出はじめ、商売人や村人には『嘘つき』『詐欺師』の烙印が押される事となる。しかし切れ者はいるもので、それならば『甘い雨水』そのものではなく噂を利用しようと考える者が現れた。かの地を『甘い雨伝説の地』として賑わせよう、と言うのだ。この提案には多くの賛同が集まった。その中には、そもそもの発端である雨水売りの村人もいた。いわば一大観光開発プロジェクトである。これは次の乾季の始まりに合わせて本格的に動き出したが、実質は文明人による進攻――もっといえば侵略――であった。

交通の整備もあって、殆んど元通りになっていた村には再び大量に人が押し寄せた。しかし前回と違い、そこにはただならぬ『悪意』があった。村のある者は人質に取られ、またある者は文明国で奴隷として働かされる運命に陥った。

先にも書いた様に、雨季には雨の恵みと、洪水などの脅威という二面性を持つ。脅威はともすれば破滅に通じる。『甘い雨水』は、この恵みと破滅という相反するものの、それぞれ究極を村にもたらしたと言えよう。

しばらくして村は滅び、その実態は殆んど謎に包まれてしまったが、『甘い雨』が降った時に村人が聞いたとされる「天上天下唯我独尊」なる文言は、後世になっても語り継がれている。

id:yam3104

あらすじ風ストーリーで書いてみました。甘茶並みの採点基準でお願いします。

2012/10/08 23:33:08
id:maya70828

自分にはちゃんとしたストーリーに見えました。
伝説のような言い回しが斬新で良かったと思います。

2012/10/09 06:42:16
  • id:misato385
    最近何だか皆さんスロースターターじゃありません…??
  • id:maya70828
    甘い雰囲気に流されて希望者以外にも感想を書いてしまった・・・
  • id:sokyo
    ↑私のことですよね?? 大丈夫ですよー。
    むしろどうもありがとうございます(甘)
  • id:gm91
    スロースタートってか今回は書ける気がしなかったんですが、#3読んだ瞬間ビリっと来ました。

    そのまま勢いで書いて、見直し含めて2h切った!
    新記録達成やった~★☆

    ああ、ありがたや陛下
  • id:takejin
    いつもスローですけど・・・
    あ、まにあわな
  • id:maya70828
    >たけじんさん
    間に合わなければあらすじ風ストーリーでもいいですよ。
  • id:misato385
    そういえば王道のべた甘なラブストーリーとかないですね(笑)
    私非リア充だからない方が嬉s……何でもありません。
  • id:maya70828
    かきつばた杯の開催者もマンネリ化しているので京さん、sokyoさん、たけじんさんに開催して欲しいとリクエスト。
  • id:maya70828
    ポイントは洒落でつけているので気にしないでください。
    117→いいな
    77→ラッキーセブン2つ
    41→よい
  • id:garyo
    かきつばた杯で初めてベストアンサーを頂きました。ありがとうございます。
  • id:misato385
    私が開催したらお題からBA選びまでとんでもないことになりますよ!!(たぶん)
    それでも良いんですか!!
  • id:maya70828
    >京さん
    はてなを京ワールドで染めちゃってください。
  • id:gm91
    >それでも良いんですか!!
    よかですよ。
  • id:misato385
    京ワールド入国審査会↓
    http://q.hatena.ne.jp/1349847961
    皆遊びに来てn(殴

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