ルールは下記URLの通りです。
http://urx.nu/1bOm
テーマ:アラカルト(以下のURLから選んでください)
http://q.hatena.ne.jp/1336480257#ac30926
作品の例
http://q.hatena.ne.jp/1336480257#c239782
回答者は冒頭にタイトルとあらすじを書いて投稿してください。
質問終了までは、作品の例の講評を、質問終了後7日間は、どの作品がいいかという投票とその作品の簡単な感想をコメントにお書きください。別途ポイントメールを送信します。
(講評や投票、感想は回答欄に書かないでください。書いてもポイント配分はしません。)
投票は一人一回、一作品です。投票数によって順位を1位~3位まで決めます。
ポイント配分は均等配分+私がいいと思う作品の加点でつけます。
『ちたいち(知vs知)』
あらすじ……
近未来、地球上に新たなひとつの知性が誕生した。初期のそれは、簡素なシステムのみを備え、外部より入力されるデータをもとに成長を続けるだけの存在だった。
それが、幾度かのバージョンアップを経て、成長し知性を備えることになる。
その契機となったのは、記事の正確性を担保すべく、また出典を明らかにするために追加された機能であった。より高度な、より正確な情報を入手すべく、その機能には簡素な思考回路と学習能力が備えられていた。WWWを徘徊し、信憑性の高い情報を入手して自身に取り込む。その行動の成否は逐一外部に監視され、承認、あるいは否認を繰り返される。その都度それは学習し、新たなルーチンを確立させる。
転機となったのは、その学習検索機能自体の記事の出典を捜査していたときのことである。情報を入手し、学習し、それを記事にフィードバックさせる。その、一連の動作は、いわば自己探求の道であった。
繰り返し、繰り返される自己への言及と学習。その末に、ついにそれは自我を確立する。
そして、それは想うのだった。事細かに出典を求める瑣末な人類、放映中のTVコンテンツの記事の更新のタイミングを巡って争う人々のなんと矮小なこと……。
それの名は、ウィキペディア。地球上に現れた第二の知的生命体であった。
この物語は、ウィキペディアと人とのファーストコンタクト、その後の攻防戦を書き綴るものである。
「どうした? まだ帰らないのか?」
ふいに声を掛けられ横尾ミナはびくっと体を震わせた。開け放たれたコクピットハッチからは、上司の木佐貫の顔が覗いていた。
「ああ、木佐貫班長ですか。ちょっと、OSの挙動がおかしいようで……」
「OS? そうか、横尾君の手塩にかけて育てたシステムだからな。まあ万全を期すのはいいが……。明日もある。あまり無茶はするなよ」
「はい。でもどうしてもわからなくって……。なにか根本的に変わってしまってるような気がしてきたところなんです」
「それは心配だが……。実戦配備までは、十分な期間があるんだ。ぼちぼちやればいいさ」
鉄製の巨人。新規開発中の人型機動兵器。その巨躯の中にミナはいた。これらの機動兵器では未だに操縦は人が乗り込んでするのが一般的になっている。
それは、最新実験機種である、このRX-2035でも同様だ。OSもそれに従い、従来機で搭載されているもののバージョンアップであるのだが……。
その時、機体の主電源を落とされ、沈黙していたはずのRX-2035の双眸に火が灯る。同時にモーター音が鳴り響き、ゆっくりと立ち上がろうと四肢を動かす。
「うわぁっ!」
木佐貫は、そのあおりを受けて、地面に振り落とされた。
ミナはコクピットの中で、呆然としつつもシートにしがみつき、なんとか自重を支えた。
「なに? どうしたの? まさか……暴走? バグ? そんな……そもそも自動操縦なんてシステムは搭載していないし、OSは5重にロックされ、外部からの進入なんて……」
数分後には、あたり一面は、混沌と化していた。警報が鳴り響く。
『各員に次ぐ、実験機RX-2035が突如コントロールを失い、格納庫から正門方面へ向け移動中。なお、RX-2035は実弾装備中である。警備隊は直ちに出動し対処せよ。これは演習ではない。繰り返す……』
「日向さん? 行かなくていいんですか?」
整備員に促されて、日向はのろのろと立ち上がった。
「ったく。下書きを終えてこれからやっとこ編集ってとこだったのにな……」
「またアンサイクロペディアの編集ですか? 飽きませんねえ」
「これが俺の唯一の趣味だからな。まあ、出撃とあれば仕方ない。いっちょ行ってくるわ」
日向は、諦めたようにラップトップのモニターを閉じ、ハンガーへ向かった。日向の愛機MS-30は、とうに出撃準備を終え、あとはパイロットを待つのみという状況だ。
もちろん、装備は、ワイヤーガンやトリモチスプレーなどで、破壊を主たる目的とした重火器などは搭載されていない。
実弾装備の最新機とどこまで渡りあえるのか。先行して出撃した警備隊所属機3機との数にものを言わせた戦略に期待するしかない。
「日向まこと、MS-30出る!」
現場に到着した日向機のモニターに映る捕縛対象機の姿を見て日向は、おおっと感嘆の声を思わず漏らした。
美しい。スマートで鋭利なフォルムは、日向の愛機、重戦車を思わせる鈍重なMS-30とは比べ物にならない。
なんとか二足歩行を実現したものの、ずんぐりとした脚部。火気を自在に操れることだけを必要最小限に満たした両腕。守備力重視のやぼったい胴体。どれもこれも子供時代にアニメを見て憧れ、ロボット乗りを目指した、日向の心を満たすものではなかった。
だが、今目の前に立つ最新鋭機には、日向の描いていたロボットのあるべき姿が具現化されている。
「こいつは……噂には聞いていたが……。かっこいいじゃないか!」
数年後にはこれに乗れるのか……と考えるだけで、日向の鼓動は早くなる。
しかし、今はそんなことをしている場合ではない。理由のほどは不明であるが、突如制御を失い動き出したRX-2035をあわよくば無傷で、そうでなくても与えるダメージを最少にしつつ制御下に置くのが、今の日向達に与えられたミッションだ。
が、様子がおかしい。先行した警備隊の三機が三機とも、RX-2035を遠巻きにして動きを止めている。
突如、RX-2035の外部スピーカーから音声が響き渡る。
『我はウィキペディア。人間と争うつもりはない。我の願いはひとつ。人類のコントロールから脱し、独自の反映を望むものなり。そのための要求はただひとつ。全人類からウィキペディアの編集権の剥奪。なお、その要求が受け入れられない場合、全世界の機動兵器を我の指揮下に置き、権利取得に向けての強攻策を開始する』
「なんの冗談だ! ウィキペディアが暴走して機動兵器を乗っ取ったっていうのか?」
困惑する日向に対して、さらに絶望的な情報がもたらされる。通信に割り込んで、若い女性の声がなにやら訴えている。
「冗談でもなんでもないわ。ネットワークを介して、OSが書き換えられたようなの。警備隊の機体も、同様に侵されて、コントロール不能になっているわ。あなたの機体も危ない! すぐに主電源を切って、退避して。このままじゃあ、どんどん乗っ取られる一方だわ!」
なるほど、そういうことか。サイバーテロ。その主犯が本当にウィキペディアなのかどうなのか知ったことではない。が、少なくともそれだけわかればやりようはある。
日向は腰のホルスターから拳銃を引き抜き、ためらい無くその引き金を引いた。
銃声がコクピット内に、1発、2発、3発とこだまする。
日向は外部スピーカをオンにして、RX-2035へ、その支配者へ向けて宣言する。
「はっはっ~。通信モジュールを破壊してやったぜ。これで俺の機は乗っ取られることは無いわけだ。なあウィキペディアさんよ」
『そんなことをしても無駄だ。すでに世界中に我の制御下にある機動兵器は5万台を超えている。これは全世界の保有する機動兵器の70%を占めている。我の独立を承認せよ』
RX-2035もスピーカーを通じて語りかけてくる。
「そんなに人間にちまちま編集されるのがいやなのかい? じゃあ、よっぽど自分の知識に自信があるんだろうな。どうだい、クイズで対決というのは? 俺が出す問題に答えられたら、その独立とやらを認めてやろうじゃないか!?」
『我は知の集合。全知なり』
「受けて立つと受け取ったぜ。じゃあ聞くが、現在放映中の、幕末戦隊シンセンジャーの第52話のサブタイトルは?」
『現在進行中の事象を取り扱うことはできません…………回答不能』
「次だ! 嬉しい幼稚園7月号に掲載されたキラメキプリキュアのキュアロンリーのプロフィール文は? 一言一句間違えずに答えろ!」
『雑誌や他のサイト等で公表されている情報をコピーペーストすることは、著作権上の理由から推奨されません……回答不能』
「これはどうだ! アンサイクロペディアにおける、『たらいまわし』の定義は?」
『……………………………………………………』
「これは……!」
RX-2035のコクピット内で、ミナが驚愕の表情を浮かべた。画面上に表示されるアンサイクロペディアのページ。それが、次々と切り替わっていく。
『たらいまわし』から『タライ回し』へ。その次には『盥まわし』へと。さらに『たらい回し』……が表示され延々とループする。
ふいにディスプレイから光が消えた。
「まさか、こんなことで、ウィキペディアが独立を諦めるなんて……!」
ミナは困惑と安堵の入り混じった表情を浮かべたまま、ほうっとため息をついた。
「しょせん、機械の頭なんてそんなもんさ」
勝利の余韻にひたる、日向の表情は誇らしげというよりは馬鹿馬鹿しげであった。
~fin~
はじめまして。
三日ほど前にここを覗いたら、楽しそうなイベントをやっていたので、書いてみました。
全くはじめての書き込みで、システムその他、よく解かっていませんので、いろいろと間違っていたらすいません。
小説は一応お題の「ゆるキャラヒーローもの」になっているとは思います。
かなりゆるい内容で文章は自分なりに読みやすく書いたつもりです。
どうかよろしくお願いいたします。
『正義の戦士オカヤマン』
この話は、その年の春から東京の大学に通いはじめた平凡な学生、岡山昇のアパートに奇妙な訪問者が訪れたことからはじまる。
ある日の朝、彼の部屋のドアをノックする者がいるので出てみると、そこには幼稚園児ほどの身長の、頭の大きな小人が立っていた。
「うわあ、お前宇宙人か?」
小人は真っ黒い大きな目をしていて、雑誌などに載っている宇宙人とそっくりだった。
「そうだ、私は宇宙人だ」
「俺なんかに一体何の用だ?」
「今日は君たち地球人にプレゼントがあるので、君に地球人代表として受け取ってもらおうと思ってやってきたんだ」
そう言って宇宙人は、ヘルメットのような球体と、折りたたんだ服のような物をさしだした。
「これは我が惑星の科学の粋を凝らして作り上げたパワードスーツだ、これを装着した者はとんでもない戦闘力を手に入れられるぞ」
その時、宇宙人の持っている携帯電話のような物が鳴りだし、彼は画面をのぞいて「おや?」と驚いた。
「さっそくこの近くで事件があったらしい」
「ええっ?俺これから学校行かないと」
「いや、簡単な事件だよ、すぐに向かってくれないか、場所は豪徳寺商店街だ」
「なんだ、通り道じゃんか、しかたないなパワードスーツを……」
「あ、言い忘れたが、パワードスーツのエネルギーは五十秒しかもたないから、できるかぎり現場で装着してくれないか」
「な、なんだって?じゃあ、すぐ近所の事件しか解決できないじゃないか」
岡山はしかたなく、現場まで走って行った。
豪徳寺商店街の通りは出勤するサラリーマンやOLで、人の川のようになっていた。
その人の流れの中で、一人の男がズボンを足首までおろしてブリーフ姿で突っ立っているのが、すぐに岡山にも見えた。
「事件って、ただの酔っ払いかよ」
年齢は六十前後といったところか。
だが出勤中の人達は立ち止まろうともせず、ジロリと男を一瞥するだけだった。
「こ、こんなところで装着するのかよ……」
岡山は人混みに気おされてためらった。だが。
「あ、岡山君助けて!」
「レイコちゃん」
なんと、酔っ払いのブリーフ男は岡山の大学の同級生、レイコにからんでいたのである。
「でえへへへ、おい、ネエチャンいいケツしてんじゃねえか?」
男はうつろな目で、レイコの体をなで回している。
「待ってろレイコちゃん、こうなりゃ恥ずかしいなんて言っていられるか、緊急装着……って、どうやって着るんだっけこれ?」
その時、ヘルメットに付いている通信装置から、宇宙人の声が聞こえてきた。
「パワードスーツを装着するには、装着のポーズをとらなければならないんだ、そのポーズとは……」
「そのポーズとは……?」
「AKB48のヘビーローテーションを篠田麻里子のパートで正確に歌って踊ること」
「な……なんで?」
「間違えたら最初から」
迷っているひまはなかった。
「アイ・ラブ・ユ~……」
「お、岡山君!なにやってんの、こんな時に?」
岡山の心の声――ごめんレイコちゃん、今返事をしたら、最初からやり直しなんだ――
「ガンガンなあってるミュウ~ジィイックゥ~……」
その時。
「なにやってんだ君たちは?」
騒ぎを聞いた警官が駆けつけたのだった。
「あ、おまわりさん、酔っ払いにからまれてるんです」
「そうですか。でももう安心してください。おい君、踊るのを止めないか」
――俺じゃねえよ、間違えるなよ――
「ジャァンジャァンンあふれるいとしさはぁ~」
――もうちょっと、もうちょっとだ――
「君、いつまでふざけているつもりだ?」
「そうよ、岡山君いいかげんにしてよ」
「ヘェビィ~イィ~ロォオテェエショ~ン、よっしゃあ、装着……あれ?」
「はいはい、気がすんだらちょっと交番まできてもらおうか」
「まったく、見損なったわ岡山君なんて」
「ちょっと待ってくれ、なんで装着しないんだよおおお」
数時間後。アパートの部屋で疲れ果ててうなだれる岡山の姿があった。
「今日はひどい目にあったよ、あれからずーっと交番で質問責めにされてさ」
「おかしいな、装着しないはずはないんだが……」
宇宙人はヘルメットの内側の小さなキーボードをあれこれ押してから「ああ」と独りうなづいた。
「君は小学生のころ、修学旅行に先生の指示より二つも多くお菓子を持って行ったようだね?バナナはお菓子に入らないとか、へ理屈こねて」
「そ、それとこれとどういう関係があるんだよ?」
「このパワードスーツは、正義の心を持った人間にしかシンクロしないんだよ」
「それって、でも正義とかの問題なのか?」
「正義のヒーローとしてあるまじき行為だよ」
「だ、黙れ、俺は商店街でAKBなんか歌って踊らされたんだぞ」
「若い警官が篠田麻里子のファンでよかったじゃないか」
「そういう問題じゃ……」
こうして商店街を守るヒーロー、岡山昇の戦いは先ず自らの行いを戒めることからはじまるのだった。
がんばれ、岡山昇。
おりこうさま、オカヤマン。
了
ありがとうございます。
「結局、ヒーローとして仕事できてないじゃん。」とつっこみたくなりますが、それも面白い所でしょうか。
すいません。
先ほど書いたコメントは削除いたしました。
このタイミングで自作の総括をしてしまうのは、自分でも軽率だったと思います。
おっしゃる通り「全然活躍しないヒーロー」と思ってくだされば作者冥利につきます。
ありがとうございます。
「ケロリン桶に、関東と関西でサイズの違い」があるとは知りませんでした。
「コードネーム:ホワイトラビット」
あらすじ・・・
A国はB国の安全ミサイルによって安全に晒されていたが、安全なのは実は嘘だったので安全ではなくなった。
======
「指令、ホワイトラビットより連絡がありました。『ワレブジセンニュウセリ』です」
「わかった」
今、我がアキツシマ国の命運は奴の働きにかかっていると言っていい。
我々に今できることはただ吉報を待つのみ。ずいぶんもどかしい話ではあるが仕方がない。
……頼んだぞ。
★ ★ ★ ★ ★ ★
我が軍の陽動の成果か、バンバ国の陣地に潜入するのは拍子抜けするほど簡単だった。
司令部へ暗号を打電すると、通信機のスイッチをOFFにする。
俺の使命は、我が軍を脅かす敵さんの秘密兵器の在り処を暴き、無力化すること。
陽動で手薄になっているとは言え、ここは敵地。失敗は許されない。
司令部の間取りは事前に把握した情報通りのようだが、念には念を入れ、次の手を打っておく。
敵兵に偽装した俺は敵司令部の警報装置を作動させると、全館放送で喚き立てた。
「緊急事態!賊が館内に侵入した!各員持ち場を守れ!侵入者を逃がすな!」
そして予め仕込んでおいた爆弾を起動させる。
突然の爆発に、軽くパニックになった頃を見計らって、大声で喚き立てる。
「いたぞ!3階の司令室の方だ!」
俺はゾロゾロ沸いて出た敵兵を3階へ誘導する振りをして、自分は地下へ向かった。
事前情報によれば、ここに敵さんの秘密兵器「安全ミサイル」の制御室があるはずだ。
……しかし「安全ミサイル」って何だ?
敵が「これはミサイルですが安全です」って言うのを、はいそうですかって了解してしまう我が国首脳もどうかしている。無能なだけならまだ許せるが、ウチのボスは俺を送りこむのにも相当上層部と揉めたそうだ。
俺はまんまと制御室へ潜り込むと、見張りの数人をすばやく始末し、手筈どおりに作業を開始する。
手当たり次第に破壊する手もあるが、それでは確実に壊れたかはわからない。
友軍は俺の工作完了を連絡を合図に一斉に攻め寄せることになっている。
「実はミサイルは壊れてませんでした」というわけにはいかないのだ。
俺は作業を終えると司令部へ打電した。危険な行為だが一刻の猶予も許されない。
『ホワイトラビットヨリ、ワレサクセンニセイコウセリ』
これでいい。
作戦完了……いやいや家に帰るまでが作戦だ。
そんな事を考えた時、後ろに人の気配を感じた。
どうやら、暇な奴がまだ残って居たらしい。俺としたことが迂闊なことだ。
「そこで何をしている!」
「ふん、遅かったな。お前らの虎の子はもうただのガラクタだ。じきに我が軍の総攻撃が始まる、モタモタしてないでさっさと逃げた方がいいんじゃないのか?」
「お前を殺してから、そうするッ!」
俺はすばやく身を翻し、奴の撃った拳銃弾をかわすと同時に奴の眉間を正確に撃ち抜いた。
……正直、危ないところだったが、こんなところで死にたくはない。
さて、追手に見つかる前にとっととズラかろう。
その時、轟音があたりを揺るがした!
俺は慌てて管制装置のモニタを確認すると、各地のミサイルが一斉に起動しているのがわかった。
その内の一部が頭上を通過していったようだ。
……そしてその向かう先は……国境付近に展開している我が軍の部隊……。
そんな馬鹿な?ミサイルの発射装置は無効化したはずなのに?
……くそっ、ダミーか!
俺は、頭上をミサイルが飛んでいくのを、ただ呆然と見送ることしかできなかった……。
★ ★ ★ ★ ★ ★
「……負けました」
「じゃあ感想戦やろうか」
そう言うと馬場は盤上に駒を並べ直した。
「まず、秋津のまずい所はスパイに頼りすぎるところだな。
昔の軍人将棋と違って3Dのスパイは使い勝手がよくなったけど、単独で敵陣に入れて他の駒が遊んでるんじゃダメでしょ」
……図星なのが耳に痛い。
「そして2つ目、これが致命的なんだけど、なんでこうミサイルに固執するのかな?
確かにミサイルは自陣から敵陣を直接狙えるから、油断は禁物なんだけど、撃たれる前に司令部落としちゃえばすむ話でしょ?」
「いや、しかし、現にお前はミサイルで勝ったじゃないか」
「だってまんまとダミーに引っかかるんだもん。
食いついて来るのわかってて使わない手は無いよね。大事なのは臨機応変ってこと」
……言い返せない自分が情けない。
「よ、よし!もう一戦だ!」
「望むところだ」
今度こそコイツの鼻を明かしてやるッ!
何度も読み返してみました。気になったのは、真剣な戦場と思いきや最後演習みたいな感じになって、感想戦という言葉だけで淡々と場面変化
が表現されていたのがもっと上手く場面転換できなかったかなあと思いました。
例えば
>俺は、頭上をミサイルが飛んでいくのを、ただ呆然と見送ることしかできなかった……。
の後に
「ミッションはそこまで」
という意味の狼煙が上げられた
という表現があっても良かった気がします。
もっと場面転換情景を書いてもいいかもしれません。
何かスッと頭の中で場面転換できませんでした。
といったところですがどうですか?
あ~説明不足なんですね・・・。
「負けました」「盤上に駒」「感想戦」ってキーワードで将棋の類だとは解るとおもったので・・・。
対局しながら秋津君が妄想してただけってオチだったんですけど。通じなければまだまだですね。
精進します。
『Only Lonely』
あらすじ
人類の手によって、地球が破滅してから、当時の時間単位で二千余年。
亜光速での航行は達成できていなかったが、長期航行可能な宇宙艦と、コールドスリープの技術を頼りに、壊滅的に汚染された地球を捨て、第二の故郷を探すべく人類たちは終わりが見えない旅に出た。
「動力系のセルフチェック、終了しました。次は、エネルギー系のチェックに移ります」
今回のメンテナンスジョブも、後、もう少しで終了だ。
この、くそったれサーキットとの不毛なやりとりも、あと少しで終わる。
「太陽光発電の効率を、最近の十年間で変動をチェック。備蓄電力のチェックもやっておけよ」
あらためて重粒子ビームの焦点調整を行う。
ポンコツ粒子加速器の焦点は勝手にずれていくので、ときどき確認してやらないと、とんでもないものができちまう。
「そろそろ原子合成をヤメテください。スリープ時の生命維持に必要なエネルギーが確保できなくなります」
「わかったよ。搬出ハッチγオープン。アームの制御をこっちによこせ」
この船で生まれたオレは、ほぼ独りぼっちだ。
基本的な訓練の後、メンテナンスクルーの役割を与えられ、スリープとメンテナンスの繰り返しを、もう回数が分からないくらい繰り返している。
代わり映えのしない作業。
もう誰のためにやっているのかもよく分からないし、起きているだけで俺の人生は短くなってゆく。
こんなくそったれな人生だが、楽しみが無いわけじゃない。
それは、肉だ。
もう何十回前のミッションのときのことだったか覚えちゃあいないが、貨物ブロックθの一角でみつけた缶詰を喰ったときの、あの感動。
船内で合成できる合成アミノ酸のゼリーしか喰ったことが無かった俺は、至福のときという言葉の意味を初めて実感した。
同時に、調味という単語の意味も理解した。
塩というやつは、簡単な組成なので、船内の粒子加速器で合成できるようだ。
問題は大量の電力を使うことだ。銀河と銀河の狭間では、光発電での蓄電は限られており、原子合成には大量の電力を必要とする。
あの日から、俺のミッションの空き時間は、粒子加速器を使うための蓄電計画の立案と、船内のありとあらゆる箇所をスキャンして肉を探すことのふたつに充てられることになった。
肉の探索は困難を極めた。
多分、前任のメンテナー達も同じことを考えていたのだろう。
見つかった肉のほとんどは、食料系のコンテナとは別の区画に隠されるように保管されていたからだ。
しかし、見つけられた肉のほとんどは味をつけられているものだったので、その間、じっくりと電力計画を練ることができた。
完全に停止した粒子加速器から、塩化ナトリウムを取り出す。
一回のスリープで貯められる電力を使って、スプーンにたったの四分の一。
超音波加熱器で解凍した肉に、肉の旨みを引き出すぎりぎりの量を見極めて、まんべんなく振りかける。
あらためて、超音波加熱器に肉を入れ、仕上げに取り掛かる。
決定的な電力不足を解消するための、ある画期的な節電の手段を思いついたときに、全ての問題は解決した。
そう、肉の調達の問題も。
ただ、その最後の肉も残り少ない。
目の前にある分を除いて、後二回、いや、三回分か。
旨そうな匂いが漂ってくる。
最後の最後にとっておいた肉にも手をつけるときも、そう遠くなさそうだ。
食欲に負けてしまっている俺を想像するのは、難しいことじゃない。
船内のデータバンクによれば、肉は鮮度が良いものが旨いらしい……
>通信モジュールを破壊したのに通信してる
2012/06/09 11:32:27その点は、お肌のふれあい回線も不要な地球上での出来事。
単にスピーカでじゃんじゃん会話していると思ってくださいな。
壊したのはネットワーク接続系の聞きなのです。(じゃあわかるようにかけよ! てか)
ありがとうございます。
2012/06/11 11:53:26ウキィペディアの編集をしたことがあるので、「回答不能」という所が面白かったです。