ルール
1.2回回答して下さい。
1回目が「導入編」、密室の状態などを説明して下さい。
2回目が「回答編」、密室トリックの種明かしをして下さい。
まず、1回目の回答だけ開きます。
コメント欄を有効にしておくので、トリックの謎が解けた人は、コメント欄に書いてください。
後で2回目の回答を開いてあっているかどうか答え合わせします。
2.「ノックスの十戒」に従って下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8D%81%E6%88%92
大和製薬中央研究所内で発生した黒川所長殺人事件で、県警の大北管理官を本部長とする捜査本部がその日の内に設置された。
県警から捜査一課の面々がやってきて、第一回の捜査会議が開かれた。そこで出された疑問は、
・犯行時刻
・黒川の所長室への入退出の回数の矛盾
の2点。
また、犯行場所が研究所内であったことから
・動機は職場での人間関係もしくは仕事上での怨恨に絞る
・県警捜査一課は研究所内の聞き込み、所轄は研究所周辺及び被害者個人の周辺の聞き込み
とすることが決定された。
捜査会議を終えて、捜査課に戻ったゴミ箱コンビの箱田が實生に話しかけた。
「あぁあ、結局手柄は県警の独り占めかぁ」
「うん?捜査の分担のことか?」
「そうですよ。現場が研究所の中だから、犯人は研究所に出入りできる人間以外にありえないでしょう」
「多分な」
「で、俺たちはそれ以外を当たれっていうんだから」
「判らんぞ。俺たちの方が手がかりを先に見つけるかも知れん。腐らず頑張ることだ。明日、俺はガイシャのカミサンに聞き込みを掛ける、ハコは研究所周辺を当たってくれ」
11月25日被害者自宅の聞き込みから、被害者は若い頃は相当の酒飲みで、毎週金曜日は未明にグデングデンに酔っ払って帰っていたこと、最近は酔ってはいないもののやはり帰りは未明か翌朝と相変わらず遅かったことが判った。
箱田の聞き込みで、被害者は幾つかの店で週に一回程度の割合で昼食を食べにくる常連客であるとの証言が得られた。
二日目の捜査会議はその日の夜に行われた。
県警の刑事から以下の報告がなされた。
・姫井の証言から入退室の回数の矛盾は、多分忘れ物を取りに戻ったのだろう。黒川は忘れ物をしたときなどドアを閉めずに出ることがあった。
・犯行が行われたフロアーは総務部と所長室しかなく、当日13:00前には全員が室内で仕事をしており、トイレなどで短時間出た者はいるだろうが、それ程長い時間席を外した者はいない。
・被害者の手帳は仕事のスケジュールと幾つか意味不明の記号が書かれているだけで、これはという情報は得られなかった。当日の予定は16:00から会議があるのみ。
捜査会議を終えて捜査課の部屋に戻ってきた、ゴミ箱コンビに署長の宮武が近づいてきて声を掛けた
「明日の予定は、どうなっている?」
實生が答えた
「明日なら、ガイシャの幼馴染に聞き込みを掛けようと思っていますが」
「昼に戻って来れるか?」
「えぇ何とか。何でまた?」
「大北管理官と昼飯を食おうと思ってな。で、現場第一のワシとしては實生君に同席してもらおうと考えているんじゃ」
「解かりました。必ず戻ります」
翌日、聞き込みが長引き、大北、宮武の待つ料亭に實生が到着したのは12:15だった。二人は殆ど平らげた後だった。恐縮しながら遅れて食べ始めた實生を横目に宮武と大北は話を続けていた。
大北「手帳の意味不明の記号なんだけどね。『A』、『N』、『Y』、『HO』、『HI』のどれかがほぼ毎週金曜日に書かれているんだよ。この意味が解からなくてねぇ。」
宮武「総務部長とかには聞かれたんですか?」
大北「聞いたけど解からないそうだ」
實生「毎週ですか?」
大北「何か思い当たることでもあるのかね?」
實生「えぇ、ガイシャの奥さんに聞いたら、毎週金曜日は帰宅が遅いと言ってましたんで、何かあるのか不思議だったんですよ。若い頃は深酒だったのは間違いないんですがね。手帳見せてもらえませんか?」
大北「当然だよ。コピーを取って所轄に渡すよう伝えておこう」
署に戻って大北と別れた後、宮武が不満そうに實生に言った。
「實生君。困るよ。いいかい、お偉いさんは定時に食事をするとは限らないんだ。遅くとも11:30には戻ってくれないと」
「署長!今何て言いました?」
「お偉いさんは、12時前には食事を摂るから早く出るということだ」
「署長!お手柄です!ハコ!出かけるぞ案内しろ!」
箱田「何すか?」
實生「ガイシャが常連だった飯屋案内してくれ!」
行きつけの店で解かったのは、被害者の昼前後の行動だった。いつもTVの見える席に座ってNHKの正午のニュースを見ていたのだ。
「これで、時間の謎が解けた。ガイシャはいつも12時より前に昼飯を食べに出て、ニュースを見るっていう習慣があった。NHKのニュースは15分に終わる。つまり、12:15に所長室へ入ったのはガイシャじゃねぇ。」
「じゃぁ、12:15の入室記録は?」
「ホシだよ!ホシ!何かトリックを使いやがったんだ。こういうこった。ガイシャは、
8:12に出社して10:28~10:38の間部屋を出ている。多分トイレかなんかだろう。で、11:42に部屋を出たのは昼飯のためだ。で、12:15には戻っていない。つまり、こいつはホシだ。で、ガイシャが部屋に戻ったのは12:43。で、ガイシャを殺したホシが部屋を出たのが12:52、解かんねぇのは13:15何故かホシはもう一回部屋に戻った。多分忘れ物でもしたのか、犯行を13時以降に見せかけるためのトリックだ」
(中略)
取調室で、實生が姫井を尋問し始めた。
「黒川さん殺った犯人が判りましたよ」
「で、誰でしたの?」
「姫井さん。貴女だ」
「まさか!私が?どうして?」
「あなたしかいない。黒川さんは研究所の複数の女性と肉体関係があった。判っていないのはイニシャルが『HI』の人物。間違いなく貴女だ。しかも、貴女は中国旅行の直前にも黒川さんと関係を持っている。婚約者がいると言うのにだ。しかも他の女性は全員が別のフロアーだ。うっかり歩いていて他人とすれ違ったら印象に残る。犯人ならそんな危険を冒すはずがない」
「イニシャルがHIなら、経理の星野さんだって怪しいんじゃありません?あの子は郁子だからイニシャルはHIだし。しかも黒川所長とも親しそうだったし」
「星野さんは『HO』と記されていましたよ。彼女には伝票の処理時間から完璧なアリバイがある」
「そんなに私を疑うなら、所長室の入退室の記録を調べて下さい!昼休みが終わった後、私が死体を見つけるまで所長以外誰も所長室に入っていないんだから!」
その瞬間、實生の顔色が変わった。
「何で、そのことを知っている?確かに13:15に黒川所長が入った記録がある。でもね、12:15にもおかしな入室記録があるんですよ。これは絶対に黒川所長のじゃない。その時間は黒川所長は昼飯を食いながら、ニュースを見ていた。つまり、黒川所長は待ち伏せしていた犯人に殺されたんだ。」
「じゃぁ、13:15にどうやって、部屋に入ったというんです!」
「それは、こういった物を使ったんだよ。」
と、實生は封筒を開き、その中から半透明の物体を取り出しながら続けた。
「こいつは、不法入国者が指紋をごまかすために使うシールだ。これで、指紋だけは他人になれる。こいつを使ったのは最初から気がついていた。普通銃を握ったら、グリップやらあちこちに指紋がつくもんだ。今回の凶器には引き金にしか指紋がなかった。おかしいと思わないか?第一、既に婚約をしているのに黒川所長と関係を持ったのは何故だ!指紋の型を取るためだろう!」
「よく解かったわね。そう、黒川をやったのは私。ところで刑事さん、最初から私を疑っていなかった?」
「あぁ疑ってた」
「何か私、ドジ踏んだかしら」
「死体を発見したときの時間が長過ぎたんですよ。ドアを開けたら血飛沫が飛んでいるのが目に入る。普通の女性なら、そこで叫んで終わりなんですよ。ところが貴方は部屋の中に入って10分以上いた。そこですよ。おかしいと思ったのは」
(後略)
動機や背景などは長くなるので省略しますね。
捜査一課の實生(ミバエ)警部補は数々の難事件を解決した名刑事である。マスコミからは平成の平塚八兵衛とよばれているものの、そのしつこい捜査方法と名前から、他の刑事仲間に「ゴミバエ」とあだ名されていた。
ゴミバエ警部補とコンビを組むのが若手の箱田巡査である。彼は典型的な現代っ子であり、定時になるとすぐに帰りたがるといった性格や勤務態度に問題はあるものの、足が速く、格闘技、射撃の腕前は優秀だった。二人合わせて刑事仲間はゴミ箱コンビと呼んでいた。
110番通報を受けたゴミ箱コンビが大和製薬中央研究所に到着したのは11月24日の16時のことだった。死んだのは所長の黒川。発見者は所長秘書の姫井由利子だった。
以下、姫井と研究所のセキュリティ担当部長の川合の証言。
姫井「15時にお茶を届けに行ったところ、所長が血まみれで死んでいたのを見つけて、すぐに110番に通報しました。」
實生「他に今日は所長とはお話しをされませんでしたか」
姫井「9時過ぎに、休暇を取らせてくれたお礼を兼ねてお土産を届けに部屋を訪ねただけです」
實生「休暇は何のために」
姫井「私、今度結婚するんです。結婚前の思い出作りにと思いまして」
實生「お二人でですか?で、どちらに」
姫井「いえ、私一人で、中国の方に。彼、ここの研究員で忙しいこともあって・・・」
川合「所長室は指紋認証のセキュリティがかかっていますから、登録してある人以外の出入りは不可能です」
實生「その登録してある人物は?」
川合「所長ご自身、発見者の姫井君他総務課の全員。後、掃除の人が数名といったところですかね」
實生「入退出の記録はありますか」
川合「ええ、聞かれると思って調べておきました。8:12に出社されたんでしょうなぁ。最後が、13:15。姫井君が9:13~9:28と14:55~15:07に出入りして、後は総務課長が入っています。それ以外は全部所長ですな。総務課長の他は必要がないでしょう。」
實生「見せて貰えませんか」
ちなみに、黒川所長の出入りは
入:8:12、10:38、12:15、12:43、13:15
出:10:28、11:42、12:52。
實生「この記録を誤魔化すってことは」
川合「絶対に出来ませんよ。これを誤魔化そうとするなら、専用のパソコンを直接操作する必要があります。担当者12名の目の前でどうやってやるんです。」
鑑識からの報告。
鑑識「死因は射殺。死亡時刻は12:30~13:30の間。背中から1発、胸に1発、こめかみに1発の計3発。密室だから自殺としたいところだが、少なくとも背中と胸への2発は少し離れたところから撃たれている。まぁ背中と胸に1発ずつ撃って止めを刺しにこめかみに撃ちこんだってところかな。凶器は被害者の足許に転がっていた拳銃で間違いない。線条痕が一致した。32口径ACP。反動が少なくて素人でも扱える銃だ。」
實生「死亡時刻を誤魔化すってことは」
鑑識「死体の状況や血痕からしてまずありえない。死体を何かにくるんでいたとかも考えられないし、部屋の温度も古い建物で冷暖房が集中方式で一部屋だけ調節することが出来ないからね」
箱田「じゃぁ、自殺ってことで」
鑑識「お前さん馬鹿じゃないのか?離れたところから2発撃つだけでも人間業じゃないよ。殺されたガイシャの腕が10mあるっていうならまだしも、部屋には小細工の跡なんかなかったからね。」
實生「外で撃たれて部屋に逃げ込んだ可能性は」
鑑識「それもない。廊下から血痕が見つかっていないからね」
箱田「じゃぁ完全密室殺人」
實生「そうなるな。で、凶器から指紋は」
鑑識「それが不思議なことにホトケさんの指紋が見つかったんだな」
實生「じゃぁ、抵抗することはしたんだ」
鑑識「そうかもしれんが、見つかったのは引き鉄から。撃ったのはホトケさんとしか思えないのよ」
箱田「やっぱり自殺ですよ!それで一件落着!今日も定時で帰れる」
さっそく参加頂きありがとうございます。
>動機や背景などは長くなるので省略しますね。
ありがとうございます。密室殺人トリックに限定することで、参加(解答)しやすくなることを期待しています。
登場人物のキャラ設定もあり本格的ですね。
回答者以外の方も、コメント欄で推理してみてくださいね。
大和製薬中央研究所内で発生した黒川所長殺人事件で、県警の大北管理官を本部長とする捜査本部がその日の内に設置された。
県警から捜査一課の面々がやってきて、第一回の捜査会議が開かれた。そこで出された疑問は、
・犯行時刻
・黒川の所長室への入退出の回数の矛盾
の2点。
また、犯行場所が研究所内であったことから
・動機は職場での人間関係もしくは仕事上での怨恨に絞る
・県警捜査一課は研究所内の聞き込み、所轄は研究所周辺及び被害者個人の周辺の聞き込み
とすることが決定された。
捜査会議を終えて、捜査課に戻ったゴミ箱コンビの箱田が實生に話しかけた。
「あぁあ、結局手柄は県警の独り占めかぁ」
「うん?捜査の分担のことか?」
「そうですよ。現場が研究所の中だから、犯人は研究所に出入りできる人間以外にありえないでしょう」
「多分な」
「で、俺たちはそれ以外を当たれっていうんだから」
「判らんぞ。俺たちの方が手がかりを先に見つけるかも知れん。腐らず頑張ることだ。明日、俺はガイシャのカミサンに聞き込みを掛ける、ハコは研究所周辺を当たってくれ」
11月25日被害者自宅の聞き込みから、被害者は若い頃は相当の酒飲みで、毎週金曜日は未明にグデングデンに酔っ払って帰っていたこと、最近は酔ってはいないもののやはり帰りは未明か翌朝と相変わらず遅かったことが判った。
箱田の聞き込みで、被害者は幾つかの店で週に一回程度の割合で昼食を食べにくる常連客であるとの証言が得られた。
二日目の捜査会議はその日の夜に行われた。
県警の刑事から以下の報告がなされた。
・姫井の証言から入退室の回数の矛盾は、多分忘れ物を取りに戻ったのだろう。黒川は忘れ物をしたときなどドアを閉めずに出ることがあった。
・犯行が行われたフロアーは総務部と所長室しかなく、当日13:00前には全員が室内で仕事をしており、トイレなどで短時間出た者はいるだろうが、それ程長い時間席を外した者はいない。
・被害者の手帳は仕事のスケジュールと幾つか意味不明の記号が書かれているだけで、これはという情報は得られなかった。当日の予定は16:00から会議があるのみ。
捜査会議を終えて捜査課の部屋に戻ってきた、ゴミ箱コンビに署長の宮武が近づいてきて声を掛けた
「明日の予定は、どうなっている?」
實生が答えた
「明日なら、ガイシャの幼馴染に聞き込みを掛けようと思っていますが」
「昼に戻って来れるか?」
「えぇ何とか。何でまた?」
「大北管理官と昼飯を食おうと思ってな。で、現場第一のワシとしては實生君に同席してもらおうと考えているんじゃ」
「解かりました。必ず戻ります」
翌日、聞き込みが長引き、大北、宮武の待つ料亭に實生が到着したのは12:15だった。二人は殆ど平らげた後だった。恐縮しながら遅れて食べ始めた實生を横目に宮武と大北は話を続けていた。
大北「手帳の意味不明の記号なんだけどね。『A』、『N』、『Y』、『HO』、『HI』のどれかがほぼ毎週金曜日に書かれているんだよ。この意味が解からなくてねぇ。」
宮武「総務部長とかには聞かれたんですか?」
大北「聞いたけど解からないそうだ」
實生「毎週ですか?」
大北「何か思い当たることでもあるのかね?」
實生「えぇ、ガイシャの奥さんに聞いたら、毎週金曜日は帰宅が遅いと言ってましたんで、何かあるのか不思議だったんですよ。若い頃は深酒だったのは間違いないんですがね。手帳見せてもらえませんか?」
大北「当然だよ。コピーを取って所轄に渡すよう伝えておこう」
署に戻って大北と別れた後、宮武が不満そうに實生に言った。
「實生君。困るよ。いいかい、お偉いさんは定時に食事をするとは限らないんだ。遅くとも11:30には戻ってくれないと」
「署長!今何て言いました?」
「お偉いさんは、12時前には食事を摂るから早く出るということだ」
「署長!お手柄です!ハコ!出かけるぞ案内しろ!」
箱田「何すか?」
實生「ガイシャが常連だった飯屋案内してくれ!」
行きつけの店で解かったのは、被害者の昼前後の行動だった。いつもTVの見える席に座ってNHKの正午のニュースを見ていたのだ。
「これで、時間の謎が解けた。ガイシャはいつも12時より前に昼飯を食べに出て、ニュースを見るっていう習慣があった。NHKのニュースは15分に終わる。つまり、12:15に所長室へ入ったのはガイシャじゃねぇ。」
「じゃぁ、12:15の入室記録は?」
「ホシだよ!ホシ!何かトリックを使いやがったんだ。こういうこった。ガイシャは、
8:12に出社して10:28~10:38の間部屋を出ている。多分トイレかなんかだろう。で、11:42に部屋を出たのは昼飯のためだ。で、12:15には戻っていない。つまり、こいつはホシだ。で、ガイシャが部屋に戻ったのは12:43。で、ガイシャを殺したホシが部屋を出たのが12:52、解かんねぇのは13:15何故かホシはもう一回部屋に戻った。多分忘れ物でもしたのか、犯行を13時以降に見せかけるためのトリックだ」
(中略)
取調室で、實生が姫井を尋問し始めた。
「黒川さん殺った犯人が判りましたよ」
「で、誰でしたの?」
「姫井さん。貴女だ」
「まさか!私が?どうして?」
「あなたしかいない。黒川さんは研究所の複数の女性と肉体関係があった。判っていないのはイニシャルが『HI』の人物。間違いなく貴女だ。しかも、貴女は中国旅行の直前にも黒川さんと関係を持っている。婚約者がいると言うのにだ。しかも他の女性は全員が別のフロアーだ。うっかり歩いていて他人とすれ違ったら印象に残る。犯人ならそんな危険を冒すはずがない」
「イニシャルがHIなら、経理の星野さんだって怪しいんじゃありません?あの子は郁子だからイニシャルはHIだし。しかも黒川所長とも親しそうだったし」
「星野さんは『HO』と記されていましたよ。彼女には伝票の処理時間から完璧なアリバイがある」
「そんなに私を疑うなら、所長室の入退室の記録を調べて下さい!昼休みが終わった後、私が死体を見つけるまで所長以外誰も所長室に入っていないんだから!」
その瞬間、實生の顔色が変わった。
「何で、そのことを知っている?確かに13:15に黒川所長が入った記録がある。でもね、12:15にもおかしな入室記録があるんですよ。これは絶対に黒川所長のじゃない。その時間は黒川所長は昼飯を食いながら、ニュースを見ていた。つまり、黒川所長は待ち伏せしていた犯人に殺されたんだ。」
「じゃぁ、13:15にどうやって、部屋に入ったというんです!」
「それは、こういった物を使ったんだよ。」
と、實生は封筒を開き、その中から半透明の物体を取り出しながら続けた。
「こいつは、不法入国者が指紋をごまかすために使うシールだ。これで、指紋だけは他人になれる。こいつを使ったのは最初から気がついていた。普通銃を握ったら、グリップやらあちこちに指紋がつくもんだ。今回の凶器には引き金にしか指紋がなかった。おかしいと思わないか?第一、既に婚約をしているのに黒川所長と関係を持ったのは何故だ!指紋の型を取るためだろう!」
「よく解かったわね。そう、黒川をやったのは私。ところで刑事さん、最初から私を疑っていなかった?」
「あぁ疑ってた」
「何か私、ドジ踏んだかしら」
「死体を発見したときの時間が長過ぎたんですよ。ドアを開けたら血飛沫が飛んでいるのが目に入る。普通の女性なら、そこで叫んで終わりなんですよ。ところが貴方は部屋の中に入って10分以上いた。そこですよ。おかしいと思ったのは」
(後略)
解答編もきっちり書いて頂きありがとうございます。
皆様の推理とは一致していましたでしょうか?
解答編もきっちり書いて頂きありがとうございます。
皆様の推理とは一致していましたでしょうか?