社内のクロスファンクション組織が立ち上がりそこに加わったのですが、この組織の戦略というものが議論されていません。戦略とはなにか・どういう風に策定するか・具体案というのはいろいろ調べて考えたのですが、そもそも戦略がなぜないとだめか、を説得するための良い材料がありません。
極端にいうと、そんな戦略や計画なんてなくても実際に動き出せばいいでしょ、自然にやるべきことが分かるでしょ、と言われた時に説得できるほどの確たるものが見つかってません。そのため戦略の根本的な必要性や戦略がないとどうなるか、などのヒントを求めています。
本質問でいう戦略はいわゆる事業戦略とお考えください。書籍のご紹介とその書籍の推薦理由があるご回答の方を歓迎します。一番の良解答と思ったものには200ポイント差し上げます。
ミンツバーグの「戦略サファリ」から読み進めるのをお薦めします。理由はミンツバーグが世の中の戦略を分類してくれているからです。これを読んで御社に最適な戦略を見つけるとよいと思います。ちなみにミンツバーグは戦略を場合に応じて使い分けるべきと言っています。http://hidezumi.toypark.in/mediawiki/index.php/戦略サファリ:title=自分のメモ用に書いたものを添付しておきます。]
さて、ここから先は蛇足ですが、戦略は動き出してから決めた方がいいかも…というのは、重要な視点だと思います。これは「企画立案と実行は不可分なのではないか」という経営学上の問題として考察されています。ただ、この時点ではあまり決めつけず、いろいろハンティング(「サファリ」はハンティングのメタファーなのです)してみるのがいいのではないでしょうか。
戦略の意義・必要性を理解するためには、気づくことが必要です。
そのためには、骨太で説得力のある大家の本を読むことをおすすめします。
「気づくこと」の対象がなにを指すか教えていただけるとありがたかったです。
「もし高校野球の女子マネージャーが~」は読んでたのですが、その元となったこの本も今日読んでみました。いろいろ気付くこともありましたが、本質問の疑問点についてはドラッカーも書いてなかったように見えました。第1章に戦略計画の項がありますが、「この例に明らかなように、成長には戦略が必要である。準備が必要である。」(P.260)のように戦略自体・戦略策定自体は当然として扱われてるように思います。ただ、この箇所の「成長」「準備」は解答を考える上で取っかかりになる気がしました。
戦略の必要性というのはあまりにも当たり前すぎて、それが逆に説明しづらい内容です。
また、質問文から戦略をビジネス戦略に絞って理解されようとしておられるように思われますが、
既にご存知だとも思いますが、元々戦略とは軍事用語であり、ビジネス戦略というのは軍事戦略が
厳密な内容であるのを、その一部を曖昧にしてみたり拡大解釈したりしていてさらに説明しづらく
理解しにくい内容となっています。
戦争であれば、戦略を誤れば何百万、何千万という国民や兵士が生命を奪われますが、ビジネス
であればせいぜい数百社が倒産し、数十万の人間が路頭に迷う程度ですから過ちの重みが違うから
なんでしょうが。
質問文を読み直していて気が付いたのですが、戦略という語の正確な定義を理解されておられれば
クロスファンクション組織に戦略があるはずがないというのも理解できるはずです。元来戦略とは
企業であれば取締役会等で決定されるものであり、その立案にクロスファンクション組織を構築し、
若手の意見を取り入れる手法として活用されるものですから。
説明が拙かっただけでしょうが。
4冊ほど紹介しておきます。
この本はビジネスを含めた戦略の名著とする本とそのエッセンスを紹介した本で、今後どこまで
勉強されるにしろ持っていて損はありません。後3冊もこの本に掲載されている、或いは絶版と
なった書籍の代替です。
ソフトバンクの孫社長の経営戦略の基本概念をまとめた本で、孫子の影響を強く受けているという
よりも孫社長が孫子を独自に改良を加えた二乗の法則を解説した本です。
やはり孫子の影響を受けたビル・ゲイツがその経営戦略論をまとめた本です。こちらの方が具体的で
理解しやすいでしょう。
戦略について語るならやはり孫子を理解する必要があると考えます。孫子だけなら講談社文庫から
も出ていますが、やはり岩波の方が私はお奨めとします。角川のは三十六計も併載されていますので
電車の中で読むというより必携書として奨めます。
何故必要かと問われたら、孫子の出だし、「兵者国之大事、死生之地、存亡之道、不可不察也」で
十分でしょう。ビジネス戦略にアレンジするなら「経営は会社にとって一番重要。社員の生活を決め
会社の存亡の分かれ道だから熟慮する必要がある」その熟慮するための方針が戦略だ。となります。
詳しくお書きいただいてありがとうございます。企業経営を熟慮するための方針が戦略+企業経営は企業にとって一番重要なので熟慮する必要がある=戦略が必要、という考えですね。ということは企業戦略レベル(事業戦略の上位)の意味で「戦略」をお使いでしょうか。クロスファンクション組織に戦略があるはずない、というのも、企業戦略はそのレベルの組織で作るものでない、という意味で書かれてるように感じました。
戦略の下は戦術という定義があるのかもしれませんが、私としては、戦略は階層的に設定できるものであり、クロスファンクション組織や下部組織であっても上位の戦略から導かれた目標に沿って戦略は作れ、また作るべきもの(そしてその組織が戦略的主体になる)と考えています。
また、ビジネスでの戦略の方法論の大半は欧米発のものなので中国の「戦略」よりはギリシャ系の「Strategy」のアイディアを参照すべきでは?と思いました。←は単に屁理屈です。孫子もざっと読んだのですが、今の私や他のメンバーに響きそうな言葉が見つけられませんでした。自分が理解する以上に説得材料としての情報を求めてるので、やはり現代ビジネスの文脈上にある言葉の方がいいかと考えています。
批難的な文になってしまったかもしれませんが(その意図はありません)、ご紹介いただいた本も読んでみようと思います。特に1冊目の本はぜひ読んでみたいと思いました。
ミンツバーグは多分に批判的に書かれているように思えるかもしれませんね。
「BCG戦略コンセプト」はいかがでしょう。
コンサルを売る側が書いた本なので、そのまま使える表現がいろいろ見つかるかと思います。
http://www.amazon.co.jp/BCG%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%82%B3%E3%83%B3%...
ご推薦の理由はまさに私の求めてるものなので、ぜひ読んでみたいと思います。
ありがとうございました。
クロスファンクション組織の存在意義を考えてみたほうが良いかもです。
企業の戦略を立てる為のクロスファンクション組織が、その組織の為の戦略(戦略を立てる為の戦略)を立てると言っているように見受けられました。
強いて言えば、クロスファンクション組織が必要のない組織にする事が最終戦略かもしれませんね。
とりあえず、組織の方向性を考えていらっしゃるようですが、
ビジョナリーカンパニーでは、
「大量のものを試し、うまくいったものを残す。綿密で複雑な戦略を立てて最善の動きを取っているかのように見えるのは後から見ればそう見えるだけである。」
ともあります。
私の考えが偏っているかもしれません。
で、お役に立つかどうかどうかわかりませんが、
戦略の本質はいかがでしょうか?
この本には、「いかに優勢な軍隊でも、いつまでも優位を保ち続けることは難しい。つまり、劣勢な軍隊でも優勢を崩す事は不可能ではない。その逆もまた然り。そのために戦略が必要である。」というような事を言ってました。
チェンジ・リーダーの条件でも、似たような事を言ってます。
こちらはもっと現代的な表現なので、質問者さんの欲するものに近いかもですね。
継続だけでは衰退する.....といったようなこと。
ドラッカーを初めてお読みになったのであれば、刺激を受けるとは思います。
それと、余計なおせっかいですが、マネジメントはもう一度お読みになった方が良いかもです。
私には、何度読んでも改めて気づかされる事が多いですし、私には質問者さん探している答えは、この中にあるような気がしてなりません。
何かのヒントにでもなればと思います。
いろいろとご紹介いただいてありがとうございます。
私の求めるのが目の前の事に対処する(立ち上げの段階で戦略の必要性を納得してもらう)材料なので、たしかに浅くしか読めてないかもしれません。また一段落したらじっくり学んでみたいと思います。
#a3です。
私宛コメントに対して、補足します。
企業経営を熟慮するための方針が戦略+企業経営は企業にとって一番重要なので熟慮する必要がある=戦略が必要、という考えですね。ということは企業戦略レベル(事業戦略の上位)の意味で「戦略」をお使いでしょうか。クロスファンクション組織に戦略があるはずない、というのも、企業戦略はそのレベルの組織で作るものでない、という意味で書かれてるように感じました。
また、ビジネスでの戦略の方法論の大半は欧米発のものなので中国の「戦略」よりはギリシャ系の「Strategy」のアイディアを参照すべきでは?と思いました。
後半は当たっていますが、前半は微妙に違っています。
正確に表現するとすれば
「企業の存亡を決定するのが戦略であって、戦略の根幹となる方針が一番重要なので熟慮する必要が
ある。」
とでもなるでしょうか。ですから、事業戦略という言葉も実は間違っていて、この段階で戦術で
なければいけません。この部分の解説は後でします。
経営という語も戦略どおりに事業が行われているか、戦略で想定したとおりに業績が達成できて
いるか管理するという意味合いですので、戦略の下位概念です。
戦略の下は戦術という定義があるのかもしれませんが、私としては、戦略は階層的に設定できるものであり、クロスファンクション組織や下部組織であっても上位の戦略から導かれた目標に沿って戦略は作れ、また作るべきもの(そしてその組織が戦略的主体になる)と考えています。
ここは、かなり違っています。戦略と戦術の間には「戦役」という概念が存在しています。書籍
によっては、完全に抜け落ちていたり、「作戦」という語に置き換えたりしていますが、作戦を
ここで使ってしまうと、戦術の下位の概念で使う語がなくなってしまうので、私は戦役を使うように
しています。
経営トップが決定した戦略に対して戦術部門が達成のために必要なお願いをしてみたり、他部門
との調整をするという概念です。むしろ西洋の戦略論で生まれた概念です。
戦略⇔戦役⇔戦術⇒作戦となります。軍隊で言えば、戦術を決定するのが統合参謀本部となり、
ここでの決定に現場指揮官は逆らえませんので右にしか矢印は向いていません。旧帝国陸海軍では
戦略を決定していたのは軍令部という組織です。
戦略という言葉を、方針という意味でお使いになるならそういった用法がありますので、否定は
しませんが、世の中に出回っている戦略の名著はむしろ参考にならないとお考え下さい。
用法を誤解した例を一つ挙げましょう
事務機大手のA社は保守契約の締結率の低減で悩んでいました。経営数字を維持するには、日銭
つまりはランニングビジネスの拡大が急務だ。ここまでは戦略として間違いじゃありませんが、この
後を続けてしまったんですね。同社にはインターネットの接続サービス(以後BBと略記)があった
のですが、それを次期社長候補筆頭と目されている常務が具体的にあげてしまいます。それも達成
目標としての数字つきで。具体的な商品とその達成目標は本来戦術か作戦です。
戦略と戦術がごちゃ混ぜになった指示を戦略だと思い込んでいますから、現場は大混乱です。それ
までの5~6倍以上の数字が目標で全社戦略なんですから。
ですから、面白いこともありましたよ。主力商品であるコピー機の顧客数に対してBBの契約者
数がどれだけあるかというのを成果指標にしようというのは一つの例です。コピー機の顧客数が
減少したら成績が上がるんですから。さすがに現場に通達する前に修正しましたが。
もしその常務がランニングビジネスの拡大でとめておくか、その月額金額でとめておけば、現場
からこういったサービスはどうかといった案が出てくるのでしょうが。
また新製品として改良したサービス(以後BBⅡと略記)を出したのですが、BBの顧客にBBⅡ
への乗換えをお願いしてそれを成果として報告してくる。また、事業部も実情を知りながら、それを
成果として報告してしまう。しかも、それじゃ拙いという意見を戦略的見地という表現で押し潰す
ということまでしてしまう。実際に日銭はそれ程伸びません。ここについてはBBを巡って他にも
たくさんあるのですが、ここでやめておきます。
さて色々と書きましたが一冊書籍を紹介しておきます。
この本は私が所有している書籍の中で唯一、部門での戦略について語っている書です。
再びご回答ありがとうございます。大変ありがたく思います。
Baku7770様はきっちり各言葉の意味を分けることができているのですね。私には戦略・戦術などが一緒に出てくる書籍を読んだ後でも、実際にどこに境界線があるのかはっきり分かってないのでまだまだのようです。ただ、私が質問で使っている「戦略」はBaku7770様のいう「戦略」でないことは間違いないようです。
三枝氏の書籍は自分の中でもポイントが高いので、今からまた読み返してみるといいかもしれない、と思いました。ご紹介ありがとうございました。
戦略サファリは読みました。戦略策定や案について考えた時にはなにかと参考にしました。ただ、今回はそもそもなぜ戦略が必要かという説得材料(戦略がなくてはならない理由)がほしいのです。その点についてはどこかに明言されてたでしょうか。見落としたかもしれませんので、該当ページがあれば教えていただけると大変ありがたいです。