異端的なものは異端として分かると助かります。
まずは、「歴史とは何か?」「歴史と歴史学は違うのか?」というところを認識しないと、「歴史を体系的に理解する」なんて事は不可能です。
歴史というのは、あやふやなモノで、どの面から見るかで色々変わります。
そのことについて、以下に簡単に説明してみます。
歴史学というのは、基本的に誰かが書き残した文章記録から、「過去にあった出来事」を明らかにしようという学問なんです。
しかし、この「誰かが書き残した」というのがくせ者で、「誰かが書き残した=真実そのもの」とは限らないからです。
さらに、この「誰かが書き残した文章から、過去に○○という出来事があった」と解釈する人が居ます(これが主に歴史学者です)
これを分かりやすく言うと
1・誰かが書いたのだから、その時点で書いた人の主観が入る。(一次史料)
2・そして、その情報を読んだ人(研究者)の主観が入る。(二次史料)
3・最後に、その研究者の論文を読んだ人の主観が入る。(私)
「真実(出来事)→一次史料→二次史料→私」、という風に情報が加工されていくことになるんです。
言い換えると、この順番でそれを書いた人・読んだ人の「主観」が入る。
私は真実を知りたい、と望みます。
そうすると、「私→二次史料→一次史料→真実」、と遡ることになる。
もちろん、「私→一次史料→真実」、とする事も出来ます。
しかし、「私→真実」、という風には出来ないんです。(それをするには、現在進行形=今、まさに起こってることしか無理)
となると、どこまで一次史料や二次史料が真実を語っているかを見極める必要が出てくる。
その為には、第二、第三の一次史料・二次史料を参考に、それらの相違や正誤を精査していく事で、情報を真実に近づけていきます。
この過程で、考古学・古文書学・社会学・金石文学・民俗学etc,,,と歴史補助学と言われる学問の助けも借りて行われます。
こうして、出来るだけ「客観的」になるように努力がなされるのです。
はたして、これ(客観化すること)は可能なのか?という問いが何度も発せられ論争されています。
これは主に「歴史哲学」と言われる分野なのですが、悲しいかな日本ではあまりはやりません。
しかし、「歴史を見る目」を養うためには重要な学問であり、個人的にはまず「歴史の授業」をやる前に「歴史哲学の授業(あるいは歴史学の歴史)」をやるべきだと思っています。
ともあれ、歴史というのは「人間の主観」が入る余地が大きく、それ故に(「歴史教科書問題」に代表されるような)問題が多々起きる事になります。
「人間の主観が入る余地が大きい」というのは、同じ真実を語る場合でも、その人の「社会的・思想的・政治的な価値観」が(意識的であれ、無意識的であれ)入り、その結果余「歪曲・無視・捏造・偽造・誤謬etc,,,」が行われます。
なので、「社会的・思想的・政治的な価値観」に相違があるばあいに論争が起きることになります。
また、政治家や思想家、漫画家、作家、ジャーナリストなど、社会的影響力が大きいにも拘わらず、歴史学の訓練を受けたことのない人が発言した場合、それは「歴史の問題」ではなく「政治や思想の問題」にすり替わることが多いとも言えます。
この現状を現したのが、クロォチェの「すべての真の歴史とは、現在の歴史である」という言葉であるといえます。
また、M・ウェバーとグスタフ・フォン・シュモラーを中心に「価値判断論争」というのが争われたこともあります。
つまり、歴史学と「主観・客観」の問題は切っても切り離せない関係にあり、未だ答えを見ていません。
しかし、日本では「歴史は客観でなければならない!客観!!」と叫ばれるのに、この問題にはそっぽを向いていると言えます。
と、ながながと書きましたが、重要な観点であるのに見落とされている事なので、心の片隅にでもとどめておいてもらえると幸いです。
で、以下はお勧めの本です。
『岩波講座 世界歴史 』全29巻 岩波書店
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/01/2/010821+.html
岩波版の世界通史の本です。
大学一般教養レベルの内容ですね。
大学の史学科に入るとまず薦められる全集の一つです。
『西洋の歴史 〔古代・中世編〕』『西洋の歴史〔近現代編〕』
ミネルヴァ書房
http://www.minervashobo.co.jp/find/details.php?isbn=01840-7
こちらも、岩波同様、大学一般レベルです。
こちらは、岩波よりもコンパクトに纏められています
『全集 日本の歴史』全16巻 小学館
http://www.shogakukan.co.jp/nrekishi/content/lineup.html
同じく、日本史の全集です。
大学一般レベルですね。
『歴史の哲学―現代の思想的状況』 (講談社学術文庫)
渡辺 二郎 (著)
ISBN-13: 978-4061594067
↓書評が載ってますので参考に
http://club.pep.ne.jp/~y.hosoya/booksreview/rekisitetsugaku.htm
『歴史の理論と歴史 』(岩波文庫)
クロォチェ (著), 羽仁 五郎 (翻訳)
ISBN-13: 978-4003341810
『歴史とは何か 』(岩波新書) (新書)
E.H. カー (著), E.H. Carr (原著), 清水 幾太郎 (翻訳)
ISBN-13: 978-4004130017
上記三つは、歴史の見方が書かれた本です。
考古資料を中心に、縄文時代から現代に至る漆文化の流れを初めて体系的にまとめた「漆1・2」(法政大学出版局)が先月、刊行された。著者の漆器文化財科学研究所長、四柳嘉章さん(59)に聞いた。(岡本公樹)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20060313bk11.htm?from=os1
ご回答ありがとうございます。
ただ、うっかり歴史と書いてしまいましたが、世界史の質問でした。
三省堂 日本史
体系的に歴史を学ぶのに最適の教材は、教科書です。必要不可欠の情報がコンパクトにまとまっていて、とてもスムーズに歴史を学ぶことができます。この作品では、文部科学省検定日本史教科書を六つの時代に分けています。
ご回答ありがとうございます。
歴史でも、世界史の質問でした。申し訳ありません。
ご回答ありがとうございます。
世界史の質問でした…。自分の中では歴史=世界史だったようです。
ご回答ありがとうございます。
世界史の質問のつもりでした。申し訳ないです。
日本歴史大系
山川出版社
http://www.amazon.co.jp/%E8%BF%91%E4%BB%A3I-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E...
他にあるでしょうけど、昔からある漫画シリーズとか。
漫画日本の歴史
http://kids.shueisha.co.jp/gakusyu/detail_nihonnorekishi.html
ご回答ありがとうございます。
世界史の質問のつもりでした。世界の歴史とするべきでしたね。
古典的な原著を読むのも一つのアプローチだということで。
異端的ですが古典的で、しかも今でも大きなインパクトを持つ歴史研究書をいくつか推奨します。
トインビー「歴史の研究」ダイジェスト版でも可
シュペングラー「西洋の没落」
両著とも文明を有機体と捉えてその盛衰を研究してます。文明を生物的に扱うなんてのは
現代の歴史家は反発するでしょうけど、刺激的な考えです。
20世紀の歴史書の傑作です。
この本は歴史名著の要点と原文ダイジェストを紹介してくれる便利な本です。
なかでもミシュレの「フランス革命史」ダイジェスト版は、感動ものです。やはり人物に共感できる歴史学は残すべきと思いますけど。
日本人は明治の民権運動のころからフランス革命史を好んでいるそうです。教科書で扱う量が他国より多いそうですね。
こちらの30選もいうことなしです。
異端的で古典的とのことですが、面白そうですね。
ありがとうございます!
http://www.bk1.jp/product/03160668
もういちど読む山川日本史 - 五味 文彦編
高校の教科書「日本の歴史(改訂版)」をベースに、一般の読者を対象として記述を見直し、時代に即応した簡潔かつ明確なかたちに書き改めた通史。現代の理解の手助けとなるテーマを選んで解説したコラムも掲載。
http://www.bk1.jp/product/03160667
もういちど読む山川世界史 - 「世界の歴史」編集委員会編
高校の教科書「世界の歴史(改訂版)」をベースに、一般の読者を対象として記述を見直し、時代に即応した簡潔かつ明確なかたちに書き改めた通史。現代の理解の手助けとなるテーマを選んで解説したコラムも掲載。
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上の2点は、歴史を学ぶうえで、極めてオーソドックスな本です(教科書がベースになっていますので)。
下の2点は、歴史を大づかみするのに適した本です。
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http://www.bk1.jp/product/02527998
早わかり日本史 スーパービジュアル版 アタマにしみ込む!歴史の動き!
河合 敦 - 出版:日本実業出版社
http://www.bk1.jp/product/02527999
早わかり世界史 スーパービジュアル版 アタマにしみ込む!歴史の動き!
宮崎 正勝 - 出版:日本実業出版社
いかがでしょう?
オーソドックスかつ手軽そうでよいですね。
ありがとうございます。
丁寧にありがとうございます。じっくり読ませていただきますね。
歴史哲学、面白そうです。