がん幹細胞の特徴の一つに自己複製能があるようなのですが、自己複製能は普通のがん細胞も持っているものじゃないのですか?
どう違うんですか??
http://kkono.cocolog-nifty.com/ukulelebeginner/2008/07/post_2249...
私も今LCMBさんの質問を見てあちこち眺めてきた程度なので答えになるかどうか疑問ではあるのですが、書かせていただきます。
http://www.kanazawa-u.ac.jp/~ganken/hirao-hp/works2.html
『がん幹細胞』はがん細胞の中で脱分化した(もしくは最初から存在する)細胞で、自己増殖能はその両者が持っているものではありますが、がん細胞そのものよりも抗がん剤等に抵抗性を持ち、がん細胞が死滅した後もそのがん細胞を供給する細胞となりうる様です。
上記サイトは金沢大学がん研究所ですが、この文章のおしまいの辺りに説明がありますのでご参照ください。
がん細胞は高い増殖力、細胞の不死化、周辺組織への浸潤や転移などの特徴をもっていますが、全てのがん細胞が前記の特徴全てを持っているわけではありません。ある細胞は高速で自己複製をするが転移する機能を持っていないとか、役割分担があるとされています。
がん幹細胞は、そういった違う機能を持った違う種類のがん細胞を作り続ける、いわば親玉のような細胞のことを指しています。なので、自己複製機能を持っていない浸潤・移転機能を持つがん細胞などは、がん幹細胞から作り出されると思われます。
ただし、がん幹細胞自体はまだ仮説検証中の段階なので、全ての状況に当てはまる状況なのかは不明と思われます。この辺りは研究している学者によっても発表がまちまちです。
自己複製能をもっていないがん細胞というのもいるのですか??
良性、悪性で増殖速度に違いはあっても、分化した正常細胞に比べれば
自己増殖でどんどん増えていくものだと思っていました。
というか、自己増殖能を持たないというのはがん細胞の定義にあてはまるのですか?
普通のがんも自己複製能をもっていますが、がん幹細胞はそれに加えて、多種類の細胞に分化しうる多分化能なども持っているようです。詳しくは下記URLを参照下さい。
●がん幹細胞
>がん細胞は、正常な体細胞と比較すると、(1) 高い増殖力、(2) 細胞の不死化(細胞分裂の回数に制限がない)、(3) 周辺組織への浸潤や、体内の離れた部位への転移、という三つの大きな特徴を持っている。しかし、がん組織を構成しているがん細胞のすべてが、これらの特徴を兼ね備えているわけではなく、実際にこれらの特徴を併せ持ち、ヒトや動物にがんを生じさせたり、進行させる能力(造腫瘍能)があるものは、全体のごく一部である。これらの一部のがん細胞は、(1) 自らと全く同じ細胞を作り出す自己複製能と、(2) 多種類の細胞に分化しうる多分化能という、胚性幹細胞や体性幹細胞などの幹細胞に共通して見られる二つの特徴を持ち、がん組織中で自己複製により自分と同じ細胞を維持しながら、分化によって周辺の大多数のがん細胞を生み出すもとになっていると考えられている。これらの一部のがん細胞をがん幹細胞と呼び、がんがこの幹細胞様の細胞から発生・進行するという仮説(がん幹細胞仮説)が提唱されている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8C%E3%82%93%E5%B9%B9%E7%B4%B...
結局、自己増殖能というのはがん幹細胞を含む「がん細胞」たる必要条件であって、
がん幹細胞を特徴づけるものではないということなのでしょうか、、?
でもtanakabuさんのご回答によればそうでもないような、、、
まだ、よくわかりません・・・
がん幹細胞とがん細胞の両方とも、自己複製機能を持っています。
がん幹細胞は、がん細胞と違って、「いろいろな細胞に分化できる(多分化能)」を持っている点が違います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8C%E3%82%93%E5%B9%B9%E7%B4%B...
大雑把に言うと、
胃がん細胞は、胃がん細胞にしか複製できないですが、
胃がん幹細胞は、胃がん細胞以外にも、肺がん細胞にも複製が可能です。
うーん、やっぱり今の理解で大丈夫ということなのでしょうか。
分化能や薬剤耐性等をもっている「がん細胞」のことを「がん幹細胞」と呼ぶ、
という定義でよいならば、結局最初から考えているのと同じなのでいいんですけど、
何かまだすっきりしません、、
あえて自己複製能を要件に挙げていることにもっと深い意味があるんじゃないかと思ってしまうのですが
考え過ぎなのでしょうか?
自己複製能力と分化能力(特定の機能を保った細胞に分化する能力のこと)の2つの視点から細胞を分類すると下表のようになります。
自己複製能力 | 分化能力 | |
---|---|---|
ふつうの体細胞 | 有限 | なし |
成体幹細胞 | 有限 | 限定 |
万能幹細胞 | 無限 | 万能 |
がん細胞 | 無限 | なし |
がん幹細胞 | 無限 | 限定 |
そもそも「がん幹細胞仮説」とは、成体幹細胞ががん化したものであるという仮説からスタートしました。したがって、上表のように、「成体幹細胞」と「がん幹細胞」は似ています。
両者が違っているポイントは、自己複製能力が有限か無限かという点です。
ということは、やはりがん細胞とがん幹細胞の自己複製能には意味的に特別な差異があるわけではないということですよね。
がん幹細胞が分化能等の正常幹細胞様の性質をもっていることは理解しているつもりなんですが、、、
がん細胞なんだから自己複製能をもつのはあたりまえじゃないの??と考えてしまうんです。
どこが間違っているんでしょうか?