なお、質問は2つです。(一部の回答もOK)
1,115条但し書きにより無権代理人の相手方の取消権が認められない趣旨
2,以下の事例において、丙がどのような対策をとれるのか。
登場人物
甲 本人
乙 無権代理人
丙 車のディーラー 無権代理人の相手方
…乙が丙と車の売買契約を結んだが、甲に追認拒絶された。
1,無権代理の相手方の言い分として以下のように言われたら納得するので、疑問に思うのです。
「無権代理人の乙がね「今甲から代理権はもらってないけど、ほら甲と俺って親友じゃん、だから絶対甲が車を買うように代理契約を結ぶから、俺を信頼してよ」って言ってたから、乙と車の売買契約をしたんだ。
この場合、丙は乙が代理権がないことについて「軽過失があった」とします。
すると、丙は「善意無過失」でないため、乙に対して損害賠償も解除もできませんし、115条但し書きにより取消権も行使できません。
この場合、丙はどんな対策をとれるのでしょうか。
私も学習中なので確かなことはいえませんが、答えられる限りで答えさせていただきます。
1、
115条の趣旨は、代理権の存在を信じたものの保護にあるため、代理権の有しないことを知っていた相手方については保護が及びません。
2、
このような場合、乙は他人物売買をしたことになります。
よって、乙は丙に対して車の引渡債務を負い、丙は乙に対して代金支払債務を負います。
ここで、乙が丙に車を引き渡さない場合、丙は乙の債務不履行を主張できることになります。
つまり、丙は乙に対して無権代理人の責任追及はできないが、債務不履行責任を問うことで、損害賠償請求・解除ができるわけです。
問題は乙が無資力だった場合ですが、このときはその危険の負担は丙がするしかありません。
丙にも乙を信じた点で帰責性があるため、この結論は妥当ではないでしょうか。
1,
無権代理理制度があるのは代理制度の社会的信用を担保するため(こういう保護がないと全ての代理行為について「無権代理かもしれない」と思って、代理制度がつかわれないおそれがある)特に保護を与えたものなので、代理権がないことを知っていた場合まで保護されないということでしょう。
ただし、この場合でも無権代理の責任とは違う形で損害賠償を請求することは可能です。
無権代理理制度があるのは代理制度の社会的信用を担保するため、という発想は代理に限らず、これからの民法の学習に役立ちそうです。
ありがとうございます。なるほど他人物売買になると。
結局以下のようになるということですね。
上記事例だと他人物売買責任を追及した場合は丙は悪意となるから、解除だけ認められる。他方、債務不履行責任を追及した場合、損害賠償と解除が認められると。
こうなると、415条の債務不履行責任を追及したほうがよいということになりますね。
まとめると対策としては、
他人物売買責任
債務不履行責任
不法行為責任
を追求できるということになるわけですね。