レンタカウ制度というのがあります。
要は除草作業のために牛を貸し出す制度なんだそうですが。
「除草の人件費も牛の餌代も節約できて一石二鳥」
ということなんですが、ちょっと疑問が浮かびました。
牛は草食動物ですが、一般には、トウモロコシや大豆などの穀物を含んだ配合飼料を食べさせますし、放牧を行う場合でも、専用の「牧草」の種をまいて、それを食べさせるはずだと思います。
人件費はともかく、牛の方は、ススキだのセイタカアワダチソウだのを食べさせて、肉質が落ちたりしないんでしょうか?
雑草ばかり食べさせて大丈夫なら、どの畜産業者もそうするんじゃないかな、と思うのですが、どうでしょう。
http://www.affrc.go.jp/seika/data_kanto/h16/03/16_03_54.html
ある試験所の研究結果です
>>. 長期間放牧利用するためには、放牧年数の経過とともに休牧の実施や牧草の導入等を行う必要がある。また、育成牛や初産牛、分娩前3ヶ月間の妊娠牛は、林地の野草だけでは栄養的に不足するので、補助飼料の給与が必要である。
<<
こちらは大学助教授の論文ですが
http://www.itocara.net/doc/goto_houkichi.pdf
>>最近、“ 放牧”がかなり流行?になっている。そこで、種々の場所で、種々の形で行われ始めているが、雑草の駆除や繁殖牛の下草刈り、子牛生産にとどまっているように感じられる。九州では、放牧面積さえ確保できれば、周年放牧による子牛生産は、十分に行うことができる。しかし、それだけでは放牧は単なる流行で終わるだろう。子 牛生産がまかなわれたとしても、肥 育システムや牛肉の格付けが今のような一律の基準ではどうしようもない<<
とありますので、とありますので、牛の育成が目的ではなく、草刈の労力低減が目的になっていると思います
畜産に限りませんが、全く対立する二つの考え方があります。
一方は工業的畜産。あたかも工場生産のように肉牛を生産する。
工業的畜産はつぎの世界的な健康危機か?(pdf)を読むと、その典型的姿が分かります。
他方、自然放牧という考え方で、牛本来の姿で育てるべきだという考え方です。
一例は、
http://www.mizuho-style.com/shop/sixth/
に伺えます。
工業的畜産は、今日、牛に限らず、豚・鶏にまで及び、様々な伝染病、感染症の被害を受けています。
また、それを予め防ぐために抗生物質の投与など問題になっています。
典型的な例が、草食動物に骨肉粉などを混入させてエサとして与えたことによる狂牛病。
牛を営業として飼う場合、面積と時間が問題になります。一、二頭の牛を飼うには、雑草と千平方メートル
程度の面積があれば充分ですが、数百頭-数千頭、アメリカのように数十万頭
を集中的に飼うとなれば、
雑草では到底間に合いません。
要するに、効率的な工業的・営業的な飼育では、雑草の生育する速度では、牛の飼料摂取速度に間に合いません。
というわけで、まあ、雑草飼育は手工業的な飼育には充分でも、工業的肉牛生産には追いつかない。
ありがとうございます。
レンタカウ制度は、いわば自然放牧的なもので、期せずして自然食志向に近いものになっている。
畜産業者一般がそれをしないのは、牛肉の大量生産を雑草でまかなうには、そもそも雑草(と、それが生える土地)の量が足りない、ということでしょうか。
……脇道にそれちゃいますが、リンク先の「完全自然放牧」、本当に餌は「四季の草花」なんですかね?
写真だと、「牧草」のような気もしますけど……。(だとすると、種はアメリカ産が多いとか……)
冬は「野草」ってわけにいかないだろうし(グラスサイレージ?)。
冬場は放牧はできないというか基本的にはしていないと思いますよ。リンク先は今まで冬は行っていなかったところ、冬も行おうと試みているところだと思います。
http://www.aso.ne.jp/~agri/chikusan/syuunen-etc.html
>近年、いくつかの牧野組合では、夏山冬里(4月~11月は放牧、12月~3月は舎飼)採草地の3番草利用を放牧に切り替え、放牧の期間延長が実施されてきた。
で、雑草ばかり食べさせる件ですがtenidaさんのおっしゃるように面積の問題もあるでしょうし、雑草を刈り取る手間を抑えるために放牧をさせて大地からそのまま牛に食べさせたり、配合飼料を購入したりしているのに、一度人間が刈り取って牛に食べさせるという行為を行ってしまっては本末転倒ではないでしょうか。肉質だけを考えるのであれば配合飼料を食べさせるよりも自然の物を食べさせた牛の方が肉質が良くなりそうな気はしますが、どうでしょう。
ええーと。
周年放牧は、冬季も行う放牧なんですね。
しかし、リンク先を見る限り、牧草の播種を行う、とのことですので、雑草を食わせているのとはちょっと違うんじゃないでしょうか?
>一度人間が刈り取って牛に食べさせるという行為を行ってしまっては本末転倒ではないでしょうか。
はい、そうですね。
雑草を人間が刈り取って食べさせるなんてことは考えもしませんでした。
>配合飼料を食べさせるよりも自然の物を食べさせた牛の方が肉質が良くなりそうな気はしますが、どうでしょう。
どうでしょうね?
例えば人間の場合、天然の雑草を食べるのとハウス栽培の野菜を食べるのと、どちらが体にいいか、と思うのですが。
自然の物ならなんでも体にいい、とは思えないので。
まあ、牛は反芻動物ですから雑草でもセルロースさえあれば栄養にできますが、それでも、牛の成長を考えて調整された餌と雑草では差が出るんじゃないのかな、という疑問があって質問しました。
http://ss.knaes.affrc.go.jp/team/Grazing_Cattle/index.html
阿蘇では周年放牧という育成方法が行われています。
またモーモー輪地切りといってレンタカウ制度ではないですが、牛を有刺鉄線等で囲いをした場所に放牧して、そのエリアの草を食べてもらうことで、阿蘇の風物詩の野焼きに欠かせない防火帯作りを牛にやってもらう(本来は人間が刈り払い機で切る)といった面白い試みもあります。
http://www.mets-ri.co.jp/topics_kankyou02.htm
あと雑草が栄養になるかという点ですが、阿蘇の場合はススキなどの植物が自生しています。
放牧地にはもちろんイタリアングラスなどの外来種の牧草も植えられていますが、牛たちはたまにコンディションを整えるのにススキなどの野草も好んで食べるようです。
また放牧されていない牛舎で飼われているような牛でも、野草を山から刈ってきて食べさせています。嗜好性はよいようです。
また野草を食べて育った牛は比較的健康に育つそうです。
http://www.nilgs.affrc.go.jp/pub/news/015/chiku_10.pdf
以上参考になるといいですが、的外れだったらごめんなさい。
なるほど。
「周年放牧」については、sylphid666さんが言及したのと同じ話でしょうか。
畜産の利益、というより、除草の人件費節減と、あとは景観とか観光資源としての価値が重要なんでしょうか。
配合飼料や牧草だけでは不足する栄養を野草で補う、ということがあるんですね。
放牧されている牛が毒草を食べて腹をこわす、なんてこともあるそうですが、肉に影響はないのかな……。
肉質も落ちるし、食用としてとれる肉も減るし、それに時間がかかる。
運動させると、肉質が堅くなります。もちろん部位によって違います。
本来、肉質が良い部分はそのままだと思いますが・・・。
少量の上質な肉はとれると思うので、それを高く売るんでしょう。
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http://www.ways.co.jp/column/food/487.htm
ホルモン剤や抗生物質を使ってるかどうかは不明ですけど・・。
でも、「トウモロコシや大豆などの穀物」を食べさすのは、
栄養価の高いものを食べさせて、短期間に肥らせると言うことだと思いますよ。
----------
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/syokuniku/kisotisiki_01_03.html
----------
「雑草ばかり食べさせて大丈夫」だとは思いますよ。
本来草食動物で、消化するための機構を持ってますから。
確かに、4つも胃がある草食動物ですから、野草ばかり食べても死にはしないだろうと思うのですが……。
おいしい肉ができるかどうか、というと難しいのでしょうか。
やはり、単純に畜産としての利益だけを考えると、レンタカウ制度は引き合わない(=それ以外の利益を見込んで実施されている)ということなのかな、と思えてきました。
http://www.affrc.go.jp/seika/data_kanto/h16/03/16_03_54.html
ある試験所の研究結果です
>>. 長期間放牧利用するためには、放牧年数の経過とともに休牧の実施や牧草の導入等を行う必要がある。また、育成牛や初産牛、分娩前3ヶ月間の妊娠牛は、林地の野草だけでは栄養的に不足するので、補助飼料の給与が必要である。
<<
こちらは大学助教授の論文ですが
http://www.itocara.net/doc/goto_houkichi.pdf
>>最近、“ 放牧”がかなり流行?になっている。そこで、種々の場所で、種々の形で行われ始めているが、雑草の駆除や繁殖牛の下草刈り、子牛生産にとどまっているように感じられる。九州では、放牧面積さえ確保できれば、周年放牧による子牛生産は、十分に行うことができる。しかし、それだけでは放牧は単なる流行で終わるだろう。子 牛生産がまかなわれたとしても、肥 育システムや牛肉の格付けが今のような一律の基準ではどうしようもない<<
とありますので、とありますので、牛の育成が目的ではなく、草刈の労力低減が目的になっていると思います
むむむ。
「充分広い土地があれば放牧だけでもなんとかなる」
「でも野草だけじゃ無理」
「それに現状の肉の格付け基準では高い評価は得られない」
ということでしょうか。
格付けの是非は私にはわかりませんが、少なくとも現状では、肉質は二の次で、草刈りがメイン、ということですね。
むむむ。
「充分広い土地があれば放牧だけでもなんとかなる」
「でも野草だけじゃ無理」
「それに現状の肉の格付け基準では高い評価は得られない」
ということでしょうか。
格付けの是非は私にはわかりませんが、少なくとも現状では、肉質は二の次で、草刈りがメイン、ということですね。