スイッチの定格について質問いたします。


1.定格がVA表記の場合、ON時の通電電流とスイッチ端子間電圧の積算が表記定格未満であれば定格を満たしていると考えて良いのでしょうか?
(例えば0.4VA MAX、28V MAX、ON抵抗100mΩのスイッチの場合ON時通電電流が4A以下、OFF時端子間電圧が28V以下であれば定格を満たしているのでしょうか)

2.定格の表記がVAとAの2種類あるのは何故でしょうか?

3.機械式接点のスイッチについて上記の内容を含むよい参考資料(書籍、WEBページ)があれば紹介してください。

以上、お願いいたします

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1.

定格がVA表記の場合、ON時の通電電流とスイッチ端子間電圧の積算が表記定格未満であれば定格を満たしていると考えて良いのでしょうか?

遮断容量の事をおっしゃっているのだと思います。スイッチを切る時に流れている電流と切った時に加わる開放電圧の積で決まる電力に相当する熱が接点に加わるので接点の熱容量などでおのずと限界が生じます。その限界を定めたのが遮断容量あるいは接点容量と呼ばれる規格です。表記は用途が直流の場合はW、交流の場合はVAになります。簡単に言うと、その接点で扱える最大の熱容量ということになります。

(例えば0.4VA MAX、28V MAX、ON抵抗100mΩのスイッチの場合ON時通電電流が4A以下、OFF時端子間電圧が28V以下であれば定格を満たしているのでしょうか)

いいえ。

接点容量が0.4VAで端子間電圧が28V加わる用途の場合、そこに流れる電流値としては14mA(=0.014A=0.4/28)が最大限度となります。

もし4Aの電流を流した場合、ON抵抗が100mΩ(=0.1Ω)あるのでそこに生じる電位降下は0.4V(=4x0.1)で、そこでの電力損失は1.6W(=4*0.4)にもなります。接点部分の抵抗は純抵抗とみなすと1.6W=1.6VAですから定格0.4VA MAXを完全に越えています。

以下は最大電流値が示されていないので無理して求めてみます。

この例のスイッチの場合はオン抵抗100mΩで接点定格が0.4VAということから定常的に流せる電流はP=(I^2)xRから、2A(=√(0.4/0.1))が最大値となります。()

実際に定格を満たしているかどうかの判断ですが、通常規格ギリギリの値での使用は信頼性に大きな問題を生じます。したがってディレーティングと言ってある程度規格に対して低い値で使用します。スイッチ等では2倍の余裕をみるといいでしょう。

したがって例のスイッチの場合、定常電流値は1A以下で使用することがON抵抗の観点から必要でしょう。

そして、1Aで使用した場合に遮断定格の0.4VAを満たす最大の使用電圧は0.4Vになります。

上記は無理に求めたので現実味のない電圧値が求められましたが、考え方はそういうことになります。質問で示されていないのですが、28V定格で0.4VAのスイッチなら電流容量は14mA程度の値が規定されていると思います。


2.

定格の表記がVAとAの2種類あるのは何故でしょうか?

スイッチはONの状態とOFFの状態以外に切る時(ON→OFF)の状態があります。(つなぐ時(OFF→ON)もありますが切るときの方がストレスは高いですので無視できます。)

定格のA規格はONの状態の規格になります。1の回答で説明していますが接点抵抗(ON抵抗)はゼロではない値が必ずありますからそこに電流が流れることで熱が生じます。主にこの熱で制限されるので電流Aで規格が定められます。

また切る時は接点が離れた瞬間にそこを流れていた電流がいつまでも流れようとします。その結果そこに火花(アーク)が生じスイッチ切った時の電位差と電流の積がアークの最大熱量となり接点にストレス(ダメージ)を与えます。このストレスに耐えられる最大規格としてVAが定められます。交流の場合力率が1とは限らないのでW(実効電力)でなくVA(皮相電力)で定義されます。

3.

機械式接点のスイッチについて上記の内容を含むよい参考資料(書籍、WEBページ)があれば紹介してください。

割と総合的な知識が問われる話ですので「これ」というのは難しいですね。以下のURL(PFDファイル)はリレーの用語解説ですが今回の質問で出てきた言葉についてわりと良く説明されています。

http://www.shinmei-e.co.jp/j/caution/img/word/J_RY_term.pdf

Web上の情報ですが、スイッチで検索するとネット関係機器のスイッチが多くひっかかるので開閉器やリレー、接点あたりで検索するといいかもしれません。

書籍は適当なものが思い浮かびませんが、今手元に無いので分かりませんが「電気機器」あたりの大学電気電子課程の教科書的な本を見るといいと思います。工学書の置いてある書店で探しているといいと思います。

電気機器 (1) (応用電気工学全書 (1))

電気機器 (1) (応用電気工学全書 (1))

  • 作者: 野中 作太郎
  • 出版社/メーカー: 森北出版
  • メディア:

電気機器 (2) (応用電気工学全書 (2))

電気機器 (2) (応用電気工学全書 (2))

  • 作者: 野中 作太郎
  • 出版社/メーカー: 森北出版
  • メディア:

id:a2c-ceres

・電流値について

 すみません、自分で「ON時の通電電流とスイッチ端子間電圧の積算」と書いておきながら例示に用いた電流値を誤っておりました。

 例示の「通電電流が4A以下」を「通電電流が2A以下」に修正いたします。

#本来であれば質問文書本文を修正するべきですが、修正方法が現在わからな

#い為こちらとコメント欄にて記載いたします。

  

・VAとAの表記について

 なるほど、遮断時アークの熱量を考慮する必要が有るため、「遮断時の電流とOFF時の端子間電圧の積がVAの値を超えてはならない」と言うことですね。

 ところで実際のメーカーカタログを確認すると「VA表記の物についてはA表記が無く、A表記の物についてはVA表記が無い」物が存在します。(両方書いているメーカも有るようです)

 例としてフジソクのカタログを挙げます。

http://www.fujisoku.co.jp/swcat/jpn/pdf/172_173.pdf

 この中の"FT"についてはVA表記のみ、"A series"についてはA表記のみとそれぞれなっています。(詳細ページにも記載は有りませんでした)

 このような場合、VAからAを求めるのはVirtual様が解かれたようにON抵抗からAを求めるのが一般的な解法と考えてよろしでしょうか?

#最終的にはメーカーに確認する事項になると思いますが、カタログから値を予測する一般

#的な方法と言うことでお願いいたします。

#趣味の自作物等の場合メーカーへの問い合わせは敷居が高いと言うこともありますので。

  

・書籍について

 ご紹介ありがとうございました。教科書的な物とあわせて、リレーシーケンサ等の書籍を古書店で探して見ることにします。

  

2007/10/05 23:35:00
  • id:virtual
    >等では2倍の余裕をみるといいでしょう。

    補足です。小電流のスイッチだと2倍(定格の5割)でいいですが、大電流用のスイッチの場合はもっとディレーティングを定格の8割とか緩和してもいいと思います。
    また、大電流用のスイッチを定格に対してあまりにも小さい電流値で使うのは接点の酸化膜とかの抵抗の影響が強く出てトラブルの元です。大電流用の接点は入り切り時の火花を飛ばすことで接点の酸化膜を飛ばして性能を維持しています。
    これに対して小電流用の接点は金メッキを施してあったりします。逆に火花を極力飛ばさないような配慮、例えば火花防止用のコンデンサーを並列に入れる等、が用途によっては必要になります。

    http://homepage3.nifty.com/tsato/terms/derating.html
  • id:virtual
    >(つなぐ時(OFF→ON)もありますが切るときの方がストレスは高いですので無視できます。)

    もう一つ補足です。
    無視できると書きましたが、つなぐ時(OFF-ON)の場合は突入電流で規格が決められている場合が多いです。これは火花による熱が切る場合よりも小さく熱的なストレスの問題が少ないので定常時よりも高い電流値(2倍とか)で規定されています。
  • id:a2c-ceres
    ・電流値について
     すみません、例示した条件を下記に変更いたします。

    例えば0.4VA MAX、28V MAX、ON抵抗100mΩのスイッチの場合ON時通電電流が4A以下、OFF時端子間電圧が28V以下であれば定格を満たしているのでしょうか


    例えば0.4VA MAX、28V MAX、ON抵抗100mΩのスイッチの場合ON時通電電流が2A以下、OFF時端子間電圧が28V以下であれば定格を満たしているのでしょうか
  • id:a2c-ceres
    Virtual様
     コメント欄への補足説明を含め大変参考になりました。
    ありがとうございます。
     スイッチについては重要な部品でありながら、教科書
    的な書籍でも言及が余り無く困っておりました。
     Virtual様も参考資料として提示していただいた様に
    機械接点を持つリレーの資料が役に立ちそうです。リレー
    シーケンサ等、リレーが多く使われていた時代の書籍を
    探してみることにします。
  • id:virtual
    >このような場合、VAからAを求めるのはVirtual様が解かれたようにインピーダンスからAを求めるのが一般的な解法と考えてよろしでしょうか?

    いえ、無理に求めたと書いたとおり一般的な方法ではありません。使用できる電圧が実用的な範囲でなくなってしまう領域になってしまうことを示すために書きました。
    VAはあくまでもアークによる電力で見るべきですのでON時のインピーダンスで見ても意味がありません。

    フジソクのAシリーズとFTシリーズの規格の表記方法の違いについてですが、Aシリーズはスイッチ接点が金メッキで微小電流域での使用を特徴としています。このためアーク電力による制限よりも電流値による規格制限を採用しているのだと思われます。アークが飛ぶ領域での使用はメッキ金属を飛散させて性能劣化を生じますので。
    http://www.fujisoku.co.jp/swcat/jpn/pdf/179_195.pdf

    これに対してFTシリーズはそういった接点に関する記述がありませんのでアークが飛ぶ領域を想定した接点材料を使用していて、開放電圧が低い用途の場合は電流を多く流せるようにVAで規格を決め、用途を広範にしているのだと思われます。
    http://www.fujisoku.co.jp/swcat/jpn/pdf/176_178.pdf

    また、STEタイプの場合は電力用のスイッチでVAで規格表記されていても不思議ではありませんが、商用電源で使われることもあり電圧と電流で規格が決められています。VA値で見るとほぼ一定な性能だということが分かると思います。また、電力用スイッチの特徴として突入電流の規格値も決められています。
    http://www.fujisoku.co.jp/swcat/jpn/pdf/345_346.pdf

    以上の例のように特に用途が示されていない場合でも規格を良く読むことで用途に合った部品の選択をすることができるようになります。メーカーにもよりますが、たとえ個人でも問い合わせてきちんと対応してくれる所もありますし、敷居は気にせ訊いてみるのもいいと思いますよ。
  • id:a2c-ceres
    必要な情報がそろいましたので、質問を終了いたします。
    virtual様ありがとうございました。

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