オリジナル創作文章を募集します。最優秀作品には、200pt進呈します。
小説部門 - 400字程度。「萌理学園」が舞台ならテーマは自由です(例えば「バレンタイン」とか)。
原作部門 - 200字程度。「萌理学園」の設定(人物・組織・場所・逸話など)を募集します。
「萌え理論」系サイトへの投稿作の転載をご了承ください。「萌理学園」(http://moeri.g.hatena.ne.jp/)の設定に基づく二次創作は、誰でも自由に制作可能とします。他詳細はトラックバックの萌え理論Magazineで説明します。
『萌理学園帰宅同好会』
学生の本分をまっとうすることを目指し、あらゆる特定部活動・スクールギャング・異能バトル・邪教の儀式・氏族間紛争への不参加を表明している。主な活動は直帰班・自習班に分かれての集団下校。部室はB棟3階の自習室。
中島祐樹
会長。直帰班班長。3年A組。179cm。サッカーのクラブチームに所属。異能力者だが能力は不明。「ルールブックに異能とか載ってねえし」との事。
緒川健一
副会長。自習班班長。3年A組。168cm。目指せ事務次官。異能力者だが能力は不明。「遊んでないで勉強しろよ」との事。
小説部門に投稿します。
『たまには窓を開けよう』
使ってない教室を半分に仕切った部屋に西日が入り込んで、窓際に座る僕を暖める。
「ウイッス」先輩が教室に入ってきた。
「こんにちは」
「副部長は?」
「まだです」
先輩は、窓を開けて、窓から腕を出して外を見る。
昨日より冷たくなった風が中に吹きこんで、髪の毛が頬にまとわりつこうとする。
「寒いです」
「寒いくらいがいいんだ」
「来れないっていってましたよ、副部長」
先輩が僕を見る。
「嘘ですよ」
先輩は再び外を見て、いう。お前の嘘はたまに本当になるからな。
100%の本当なんてない。100%の嘘もないかわりに。
僕はその1%の嘘の部分をふくらませてあげるだけだ。
僕の携帯がメール用の着メロを鳴らし、先輩のポケットに入れていた携帯もぶーっと震えた。
「大変ですね、副部長」
「かわいそうに」
先輩はそういって一人で出て行くようなそぶりを見せる。
僕が少しあわてて立ち上がろうとしたとき、先輩が僕の頭をこつんと叩いた。
「一緒に帰ろう」
前回、字数が多いと言われたので、抑えてみました。
よろしくおねがいします。
さらっと読めますが、考え始めると謎が謎を呼びますね。「僕」と「先輩」が待っている教室に副部長が来ないというだけの話ですが、なぜ来ないのか、その理由を僕が知っているのか、そもそも登場人物の性別も、何の集まりなのかも分からないので、非常に気になります。単なる説明不足のようにも思えるので、含みがあるのであれば、私なら題名は「1%の嘘」にして、思わせ振りなキーワードを追加しますね。
[委員会][歴史]美化委員会
美化委員会の黄金時代は、4代委員長「狩野美加」が創り、「狩野美加」により破壊された。
元々、綺麗なものが尊ばれる風潮にある萌理学園において彼女の属性は最大限に発揮され、「校内美化」を独自に拡大解釈した結果、対象は施設に留らず、人にまで及んだ。当時囁かれた”脳内美化”という言葉が何を指していたか、記録には残っていない。
やがて彼女の目指す究極の美化は「全てを無に還す事」に向かい、萌理学園13事変の一つ「美化戦争」を引き起こした。
現在、その力は大幅に削られつつも美化委員会は存続しており、彼女の掲げた「綺麗な学園」思想は未だ学園内に根強く残っている。
定番どころの委員会設定です。FFの最終ボスのような感じですね。異形の部活道の面々が横の繋がりで揃うイベントがあったら楽しそうです。
投稿ありがとうございます。「脳内美化」「美化戦争」「13事変」辺りの単語が面白いですね。究極の美化は「全てを無に還す事」って、ラスボスみたいですが、(最近はNASAが開発した)紅白の舞台装置みたいに、大掛かりっぽい仕掛けがあったら楽しそう。
小説部門に投稿します。
『書記の仕事』
書記の仕事の一つに、議会中に重要事項を黒板へ書き記す事がある。
窓からあたたかな日の差す午後の生徒会室。その日も正規生徒会書記、斉藤正は職務を全うすべく黒板へと向かっていた。フォントのように異様に綺麗な文字で、要点のみを過不足なく完璧に素早く黒板へと記す。その様はまるで機械のよう。
ふ、と場の空気が緊張した。
斉藤の動きはやはり精密だった。目にも止まらぬ速さで記録用ノートを掴むと生徒会長の頭部の左横へ差し出す。瞬間、キンと乾いた金属音がして銃弾が弾け飛んだ。その様子を斉藤は見ていない。すでに顔は窓の外へと向けられている。確認。直後に、持っていたチョークを一直線に投げつける。遥か遠くで何者かがどさりと崩れ落ちる。
生徒会長は変わらぬ様子で紅茶をすすっている。
「君がいるから、私は安心して青空を眺める事ができる」
書記の仕事の一つに、生徒会の青空を守る事がある。
よろしくお願いいたします。
投稿ありがとうございます。ノートに鉄板でも入っているんでしょうか。紙のノートで弾いたら異能の領域ですね。あるいは、記録用ノートはデスノートみたいに書かれた人間をどうにかする異能があるとか。まあデスノネタは「ねこのおと」とか濫造気味ですけど。
小説部門で投稿します。
購買部前で待ち合わせ。
逢引といえば聞こえはいいけど、実際のところかなり微妙である。
糸瓜みたいなフランクフルトを仲良く頬張る双子姫が、「御機嫌よう」と通り過ぎていく。
龍と虎が定番だった制服裏地に、魔法少女はてなちゃんの刺繍を入れるため並ぶ列に、混ざらないよう注意する。
文化祭くじ引きカップルたちが旅行パンフを手に取るのを眺める。
そしてようやく出てきた彼女を連れて屋上へ。木枯らし吹き荒ぶが、寒くない。
ドラム缶サイズのカップ麺から湯気が立ち昇る。
彼女がツンデレ湯沸かし器に罵倒し、軽く撫でる。
「あ、あんたのためじゃないんだからね!」、そう反応する湯沸かし器からお湯が出る。
百グラムウン百円の番茶を飲み、待つこと十二分。
出来上がったタンメンを嬉しそうに食べる彼女に見惚れてると、『一口どう?』という雰囲気で箸が差し出された。
うん。ボリュームと同じく不味い。
「よし! 割り勘な!」
自分から食べたいと言い出して、彼女はこれである。
一口では割りに合わないので御多分にもれず唇もご馳走になった。
初キスは塩味である。
投稿ありがとうございます。全体がユーモアある表現で書かれていますが、「ツンデレ湯沸かし器」とか面白いですね。ラストまでずっとまとまっています。
原作部門に。
『キュラギ時空』
萌理学園の七不思議が一。一年の出来事を片っ端から数えていくと、どう考えても365日では足りそうにない。そういえば誕生日ネタやバレンタインネタだってもう何度も繰り返してるのに、一向に進級する気配がない。年もとらない。
でも誰もそのことを気にしないし、話題にも上がらない。萌理学園はその状態でずっと円満に回っている。一部上層の者だけが、萌理学園がキュラギ時空と呼ばれる不条理状態にあることを知っている。
国民的長寿アニメ『魔法少女きゆら』から取ったネーミングだとか。
投稿ありがとうございます。なるほど…。サザエさんやドラえもんはループ時空だとみんなうすうす感じているけど、それを具体的な設定にしてしまうのが面白いです。学園の中では時間の流れが一定してなくて、この教室だけは時間が流れないとか、三年後とかだと面白いですね。
『恋はリーダビリティの外!』
図書室に本を返しに行く途中で、
廊下の角から長い黒髪の少女がまろび出てきた。
「あれ? ええと、
柊野 ……さん?」息せき切らしている。
「柊野加奈よ。覚えておきなさい。フフ……それより、今からその本を返しに行くみたいね? フ、フフフ……」
加奈は、胸ポケットから栞を抜き取ると、少年が持っている本に向けて投擲した。
「リーダビリティ、発動!」
「わっ!」
少年が持っていた本が、綴じ目からバラバラと解け、紙片が竜巻のように少年の身体を取り囲む。
「これが二年間で私が身に付けた文芸部の『部活特技』! <リーダビリティ>は、その図書の持ち主のことを『読む』ことが出来るのよ! そう、例え貴方の心の中身でさえね!」
「借り物の本が!」
「それによると、貴方は――私のことを、只のクラスメイトだと思っている――え?」
途端、力を失った紙がパタパタと床に落ちていく。
「こ……この甲斐性なし!」
加奈は踵を返すと、泣きながら走り去った。後に点々と残る涙の雫。
「何なんだろう、柊野さんって」
「活版いんさつーーーーーーー!」
グーテンベルクが彼女にとっての神である。
開催お疲れ様です。小説部門に投稿です。
投稿ありがとうございます。「フフ……」「借り物の本が!」とか、茶番っぽさが楽しいです。オチもおおげさで良いでしょう。柊野(フォントの名前から?)さんのキャラが立ってます(まあ能力は露伴のスタンドですが)。
能力がバトルに使われるんじゃなくてもっとコンシューマ化されるというのは、学園異能というより「学園微能」という感じなのかも。インターネットも最初は軍事目的だったことを考えれば、「グーテンベルクの銀河系」みたいなメディアの進歩ですね。
小説部門で投稿します。
『トイレの邂逅』
「芳香剤変わってる」
馴染みの旧校舎2階の女子トイレ。奥から3番目、冷えた便座に腰掛けて弁当箱を開く。
卵焼き、美味しい。ウインナー、ちょっと薄い。ご飯、いつも有難うお母さん。
「あれ、ウインナーしょっぱくなった」
目尻からぽろぽろと零れ落ちる水滴を浴びたウインナーの味付けが良好。
静かな嗚咽がトイレに響く。
──────「うるさいわね、あなた」
突然、罵声が嗚咽を打ち消した。勢い良く開かれたドアの前には、彼女を睥睨する女生徒。
学園の制服を優雅に着こなす深窓の令嬢、神出鬼没の読書魔。クラスメイトの高宮みのりと対面した。
「え、やだ…。なんで、高宮、さん」
啜り上げる洟の音に混じった涙声。小柄な少女が纏う悲哀。
一瞬、みのりの胸がどきりと震えるが、本人ですら気付くはずもない。
ふと目に付いた、みのりが手に持つ文庫本。
「それBL本?」
「…なっ!!!!」
咄嗟に後ろ手に隠すみのり。カバーイラストは眉目秀麗な男、男。
鋭い目つきをそのままに狼狽を隠しきれない。
真瀬花子───後に「トイレの花子さん達」と噂される都市伝説の始まりである。
今回はどう攻略して良いか分からなかったので、設定追加してお話にしてみました。
学校の怪談って最近聞かないですね。今でも子供達の中では噂されているのかなぁ。
投稿ありがとうございます。意外な角度から攻めた作品です。「学校の怪談」というアニメがあるし、「学校の階段」というラノベもあるので、ネタとしては定番だけど、実際の学校でどうなのか謎ですね。
小説部門に投稿します。
『就職難』
屋上に二人。
僕は少しだけ思いをはせる。ここは一体何処だろう。
間違いなく学園屋上だ。数年来捜し求め、ようやく辿りついた学生の聖地である。
でも、ここはどこだろう? 最近ずっと同じ動作しかしていない気がして不安になったが、押し殺して柵から身を乗り出す。
地面は見えなかった。遠くまで来てしまった。ここは屋上だ。やっと辿りついた屋上が何処にあるのか、僕にはよくわからない。
「早く帰らなくちゃ」
不安の発露のようなつぶやきに、もう一人が返事をしてくれる。
「ここにいればいいじゃないですか」
「帰る場所があるんだ」
「でも、あなたは屋上に辿りついた」
「だから?」
「ここにいればいいんです」
そういって、少女は僕の顎に手をやった。
ざらりとした感触。
「あなたはもう学生ではないのだから、学園には帰れません。そうでしょう?」
この問答を何度繰り返しただろう。
でもここに鏡はないし、髭剃りもないんだ。
ドアの見つからない屋上がどこにあるのか、僕にはいつまでたってもわからない。
投稿ありがとうございます。「ドアの見つからない屋上」という設定は非常に面白いですね。特定のアイテムとかフラグで出現するとか。ただタイトルの関連がちょっと分かりにくいです。
不換症
教室の扉を開けると繭子ちゃんが佐々木くんの脳漿をずるずるじゅるりと啜り上げているところだった。頭蓋骨の上半分が綺麗に切り取られた佐々木くんは片方の眼球がなく(繭子ちゃんがもう食べてしまったのだろう)、残ったひとつは神経一本でなんとか眼窩と繋がっている状態で垂れ下がりぶらりゆらりと揺れていた。繭子ちゃんは僕に気がつき赤ちゃんみたいに眼を輝かせて駆け寄ってくると、その大きな胸の形が変わるくらいに体を擦り寄せながら僕の首筋の瘡蓋をざらぺろりざらと舐め上げる。僕が繭子ちゃんのくるりんと長い栗色の髪を丁寧に梳いてあげると繭子ちゃんはいつものように僕の背中に血が滲むほど爪を立てて喉を鳴らした。虚空を見つめながら「僕だけでは足りなかったのかい……?」と言ってみたけれど、勿論独り言に返事はない。それらは何を震わせることもなく淀みに沈んでいった。だから僕は、繭子ちゃんに「僕の顔をお食べ」と言うことにした。
投稿ありがとうございます。ホラーでグロいですが読ませる文章ですね。僕と繭子のサスペンスな関係が良い感じ。冷静な文体が「僕」の設定に合っていますが、もしこのシーンが十倍の長さの文章だと、オチの意外性が減じますね。短編であることを活かして成立しています。
小説部門です。
『すこしふしぎ』
ぺたぺたとスリッパの音が背後から響く。
「三島ー」
やっぱり先生だ。由利は声の主へと向き直る。
「また給湯器の調子悪くてさ。一緒に来てくれないか」
「私は修理屋じゃないです。業者呼ぶか新しいの買うかして下さいよ」
「三島が来るだけで直るんだからいいじゃないか」
ツンケンした口調に動じもせず、
化学教師は白衣をはためかせながらぺたぺたと理科準備室へ向かう。
由利はおとなしく後をついていく。黒縁眼鏡の奥の笑い皺が好きだ。
「私が行くと正常に動くのなら、つまり私は不調な状態を観測することが不可能なんですよ」
「うん?」
「ほんとは不調ではないかもしれないということです」
「嘘ついてどうするんだよー」
嘘でいいのに。
由利がボタンを押すと、給湯器は熱湯を勢い良く吐き出した。
「ほら、動いてるじゃないですか」
「三島が来たからに決まってるじゃないか。先生がコーヒー淹れてやるから機嫌直して飲んでいきなさい」
由利は棚に並んだビーカーに視線を投げた。
ぴしっ。
あ、また割っちゃった。ごめんね先生。
私には壊す力しかない筈なんだよね。なんで給湯器が直るのかな。ふしぎ。
(終)
投稿ありがとうございます。「物の壊れやすい線」が見えたり破壊光線を出したりする、視線系の能力ですね。ただ「嘘」というクッションを置くことで、先生との関係に柔軟性が出て和みます。
最後のポンと置く感じの「ふしぎ」が、タイトルや「嘘でいいのに。」と関連してるし、キャラの心情の深みが出るので、本当に何気ない三文字なんだけど、うまいですね。短編の結末は蛇足になりがちで悩むところですが、これは読後感を良くします。
小説部門ですぅ。テーマは部活。
門部とは。
萌理学園の数多ある門の開閉を一手に仕切る、いわゆる学園運営部の一つである。
部の門戸は、その名が門である事以上に、門の持つ重要性、危険性の為に数多の運営部よりも、とりわけ高く、険しい。
「と、聞いてたんだけど」
私が遅刻覚悟で向かった東正門で見た門部員は、とても門部の看板を背負っていそうになかった。
女の子なのはまだいいとしても、これがなんとも華奢なのだ。いや、むしろ可憐だ。
だから、重厚な東正門を必死に閉めようとしているけど、これがまるで閉まる気配無し。
門が閉まりきる前に入る事が出来れば遅刻じゃないので、その横を皆が問答無用で通っていく。
手伝おうにも、門部以外の者が門を動かすのは原則禁止。
だから、私も手伝う事は出来ない。出来るといったら。
閉まり切る寸前隙間から、中へと入った。
閉まる。
女の子は「ふぃー。」と溜息をついた。
私は出来る事をした。
「これからも、がんばってね」
と、声をかけたのだ。
「え……、あっ! はいっ!」
それに、門部の子は気持ちのいい返事と笑みをしてくれた。
いい一日である。
思った以上に真っ当な話になりましたが、出てきたのを成形したらこうなったので、まあそういう事もある。
投稿ありがとうございます。ちょっとほのぼの。極端であったり非現実的な設定ではないのですが、身近過ぎて意外と思い浮かばない設定です。学園に秘密の抜け穴があって、それが門部の伝説になっていると面白いですね。
投稿ありがとうございます。今回はこの場で講評してしまいます。
帰宅部を組織にするという発想はアリですね。「氏族間紛争」とかちょっと面白い。あと、会長が「サッカーのクラブチーム」には所属しているのも興味深いです。やる気マンマン帰宅部。