体内リズム(の中で約24時間の周期を持つリズム)を発振させる概日時計の分子メカニズムは
ここ10年でようやく、しかし、急速に明らかになってきました。
概日時計も機会仕掛けの時計のように、一般に3つの構成要素からなるとされます。
すなわち、入力系(普通の時計で言うところの時間合わせの機構を司る部分)、
振動体(時計の中枢でリズム発振のもと、クォーツ時計で言うところの水晶振動子みたいなもの)、
そして出力系(振動体で発振されたリズムを外部に伝達する機構)です。
特に振動体のメカニズムは研究が進んでおり、その基本は時計遺伝子、および時計タンパク質と
呼ばれる一群の分子種が細胞内で転写・翻訳を基礎としたフィードバックループを
形成している事に起因します。
これについては下のページのアニメーションが分かり易いと思います。
http://www.hhmi.org/biointeractive/animations/mol_mod_mamm/mamm_...
マウスや人間では、振動体となるいわゆる時計細胞は視交叉上核と呼ばれる脳部位に
存在するとされ、事実、この部位に異常があると末梢における時計遺伝子の周期の同調性が崩れます。
時計タンパク質というのは、それ自身が他の下流の遺伝子やタンパク質の発現を調節している因子であるので、
結果個体としての体内リズムが崩れることになります。
もちろん、この下流の遺伝子というものには免疫系の因子も含まれます。
しかしながら、振動体である視交叉上核からの情報が下流に何によってどのように伝達されるのか、
つまり出力系についてはまだはっきり分かっていないのが現状です。
昨年になって漸くショウジョウバエにおける出力因子であるPDFというペプチドの受容体が
判明したというぐらいです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=...
これまでの回答者の御回答のように、もちろんメラトニンなども出力因子の1つですが、
例えば、ニューロメディンUや、アルギニンバソプレッシンなどの
神経伝達物質も
関与していることが知られています。
特に前者は、つい最近の研究で末梢血リンパ球におけるインターロイキン6の産生を調節することが判明し、
免疫系への関与が強く示唆されています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=...
リンパ球にも時計遺伝子は発現しており、免疫系と概日時計の研究はまだまだこれからといったところです。
http://hitomi.air-nifty.com/health/2006/06/post_4b70.html
これは基本的に、自律神経と白血球・リンパ球との関係ですね。
体内リズムは交感神経と副交感神経が相互に司っていきますが、
このどちらが優位になっているかによって、
免疫を司る細胞の中の体内のパトロールをするような細胞や、
積極的に侵入者を攻撃していくような細胞の
バランスも変化してくるんです。
偵察、攻撃、防御、etc.
これらが絶妙のバランスで整えられてこそ
生体は高い免疫力を発揮できるわけですよね。
そのコントロールタワーが自律神経、というわけです。
詳しいことはURLを参照してください。
体内リズム(概日周期;サーカディアンリズムと言うらしいです)には、
メラトニンというホルモンが影響しています。
「目の網膜が光を感じている時(昼間)には分泌量が減少し、感じない時(夜間)には増す。
それにより睡眠を誘発し、体内時計を調節する役割を果たしている」とのこと。
そして、このメラトニンが増加すると、
「免疫系に重要な役割を持つTー細胞やナチュラルキラー細胞が増加し免疫力が強化される」のだそうです。
サーカディアンリズムが整っている→メラトニンが増加する→免疫力が強化される
サーカディアンリズムについてはいろいろサイトがありますが、
こちらが比較的、簡単にわかりやすくなっているかと思います。
*上記2サイトとも通販っぽいページですが、自分は関係者ではありませんし、
購入をおすすめしているわけでもありませんのでご了承下さい。
体内リズム(の中で約24時間の周期を持つリズム)を発振させる概日時計の分子メカニズムは
ここ10年でようやく、しかし、急速に明らかになってきました。
概日時計も機会仕掛けの時計のように、一般に3つの構成要素からなるとされます。
すなわち、入力系(普通の時計で言うところの時間合わせの機構を司る部分)、
振動体(時計の中枢でリズム発振のもと、クォーツ時計で言うところの水晶振動子みたいなもの)、
そして出力系(振動体で発振されたリズムを外部に伝達する機構)です。
特に振動体のメカニズムは研究が進んでおり、その基本は時計遺伝子、および時計タンパク質と
呼ばれる一群の分子種が細胞内で転写・翻訳を基礎としたフィードバックループを
形成している事に起因します。
これについては下のページのアニメーションが分かり易いと思います。
http://www.hhmi.org/biointeractive/animations/mol_mod_mamm/mamm_...
マウスや人間では、振動体となるいわゆる時計細胞は視交叉上核と呼ばれる脳部位に
存在するとされ、事実、この部位に異常があると末梢における時計遺伝子の周期の同調性が崩れます。
時計タンパク質というのは、それ自身が他の下流の遺伝子やタンパク質の発現を調節している因子であるので、
結果個体としての体内リズムが崩れることになります。
もちろん、この下流の遺伝子というものには免疫系の因子も含まれます。
しかしながら、振動体である視交叉上核からの情報が下流に何によってどのように伝達されるのか、
つまり出力系についてはまだはっきり分かっていないのが現状です。
昨年になって漸くショウジョウバエにおける出力因子であるPDFというペプチドの受容体が
判明したというぐらいです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=...
これまでの回答者の御回答のように、もちろんメラトニンなども出力因子の1つですが、
例えば、ニューロメディンUや、アルギニンバソプレッシンなどの
神経伝達物質も
関与していることが知られています。
特に前者は、つい最近の研究で末梢血リンパ球におけるインターロイキン6の産生を調節することが判明し、
免疫系への関与が強く示唆されています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=...
リンパ球にも時計遺伝子は発現しており、免疫系と概日時計の研究はまだまだこれからといったところです。
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