http://www.saien-t.com/awaji/vol_9.html
青汁 ランキング〜栄養・飲みやすさで比較〜
(淡路町だよりVol.9 出版不況について)
出版点数は今も増加の傾向(1973年 20138点 →1983年 33617点 →1993年 45799点 →1998年 65513点)にあるようですが、書籍の売上げは96年の1兆900億円をピークに漸減しているとのこと。
単純に売り上げ高が最高の1996年を「最も書籍が読まれた年」としてもよさそうですが、そう単純な話ではないかもしれません。
読書以外の娯楽が増えている現在、相対的に読書の価値は下がっています。実際、戦後ほどなく中央公論社から『世界の名著』シリーズが出た時には、一冊書いた(訳した)先生は別荘が一軒買えたと伺ったこともあり(今では普通の大学の先生で数冊本を出していても到底無理な話です)、戦後すぐの頃などは本に飢えていた人々がどんどん書籍に飛びついた時期だったのではないかと思います。
また書籍を読むにしても、図書館から借りたり、友人とまわし読みをする等のことが普通になされていた時代などがあり、読書量と出版量は単純な比例関係にはないように思われます。
そこでちょっと視点を変えてみます。確かに絶対量的には現在に読書量が匹敵することはないと思いますが、「日本人が一番本を読んでいた」というのを「諸外国に比べ…」と考えると、それは案外江戸期ではなかったでしょうか?
世間的な認知度の高まった黄表紙や合巻などの大衆小説的な出版物は、拡大形成された市場と流通ルートにのることで、出版界の主流のみならず、化政文化と称される文化(1804−1817)・文政(1818−1829)年間における文化の中心的存在となったのである。(略)
この時期に出版された山東京伝の作品はコンスタントに7,000部以上が売れ、柳亭種彦の合巻などは最高15,000部を売り上げたほどである。当時のわが国の人口は3000万人足らずであるから、これは現在の約5万部に相当する。
http://homepage3.nifty.com/katodb/doc/text/1076.html
KATOHDB: 日本の文化・伝統と教育
十九世紀のおわりには寺小屋の数は二万にちかかったというから、日本人の識字率は世界最高であったと断定してさしつかえあるまい
つい先日のNHK『ものしり一夜づけ』(最終回)でも、黄表紙に善玉と悪玉が登場したことによって日本人の識字率が一挙に高まったなどという話をしていました。
1576年〜1640年の間 イギリスで毎年200点発行される。
1671年 日本の蔵書目録で入手可能なものは3974点
1815年〜1842年 柳亭種彦 「にせ紫田舎源氏」10000〜15000部
1885年 フランス ゾラの「居酒屋」10000部、「ナナ」150000部
19世紀前半の日本は、世界で一番本を読んでいた国だったんじゃないでしょうか…
(あ、これは『聖書』とか『コーラン』を勘定に入れない本のお話ということですが)
参考URLの8ページにある読書率の推移のグラフを見るかぎり、2000年が読書率の最も高くなっている年です。
ただ、11ページの資料を見ると、高校生の読書不読率の上昇が目立ち、今まで一番本を読むとされてきた高校生、大学生に本離れの傾向があるのは否めません。
また
の表1などを見ても、学生の読書量は必ずしも増えているとは言えません。
出版点数などで見ると、現在も出版点数自体は増えています。ただ、いわゆる学生などが定番として読む古典的な小説などを読まないそうが増えているというのはデータからも読みとれるかもしれません。
上記のデータを見るかぎり、「今が一番本を読んでいる」と言えそうな気もしますが、「教養としての読書」のようなことを考えると、何となく実感とは違いますね。
これは統計的なデータではありませんが
で筑摩書房の歴史を見ると、50年代後半から70年代前半が「教養としての読書」の黄金時代のような気もします。
参考文書はよくまとまっていますね。祖父母の感覚をよく裏付ける資料。70年代まで読書率は上昇し続け、頭打ちになったのである、と。
ではなぜ読書離れといわれるのか、についても触れられていますし、アメリカの成功例も紹介されている。満足しました。
また、「教養としての読書」についてですが、それもまた納得というか、一度そういう時代を通ってきたから、いまだに読書が趣味というとちょっと(ほんの少しですけれども)ハイソな感じがあるのでしょうね。
なるほど、力作回答ありがとうございます。