まず一人目は文芸界の問題児。太田克史さんの本。舞城王太郎さんや、西尾維新さん、佐藤友哉さんなどの編集を主になさっています。特に文芸誌実売部数第一位を記録したファウストの編集長としても有名な方です。イロモノ的な本が多いですが、ファウストは雑誌としては見応えはあると思います。
次は宇山日出臣さんの本です。ミステリーランドシリーズしか読んでいないのですが、どの本もかなりの品質でかなり面白かったです。新本格系の有名な作家さんの編集はかなりやっている方らしいですよ。
最後にかなり色が変わりますが、幻冬舎の石原正康さんです。村上龍さんを初め、山田詠美さん、五木寛之さん、吉本ばななさん、天童荒太さんなどの編集をされています。これだけのメンバーに信頼されていると言うだけでもその凄さがわかると思います。参考URLとして朝日新聞の村上龍さんの紹介記事を載せておきます。
目的概念とシステム合理性―社会システムにおける目的の機能について
勁草書房の富岡勝氏です。
上記の宮台真司や橋爪大三郎のデビュー作『言語ゲームと社会理論 ヴィトゲンシュタイン・ハート・ルーマン』(ISBNがありませんでした。)を出版し、浅田彰の『構造と力』も彼の手によるもの(僕自身は未読)。
また、ドイツの社会学者ルーマンの著作の翻訳にも努めていて、上記にあげた『目的概念とシステム合理性』は、この当時の翻訳としては非常にわかりやすいルーマンの著作でした(もとが難解なせいか初期の翻訳は意味不明なもの多し)。
そして、忘れてはならないのは分析哲学の本を精力的に出版したことです。翻訳、オリジナルを含め日本における分析哲学の重要な著作がほぼ勁草書房の富岡氏の編集で出版されていることを考えると、富岡氏がいなかったら日本の分析哲学というのはホントにマイナーなものとして終わったと思います。飯田隆や丹治信春の著作も面白いですが、ここでは最近さまざま活躍をしている野矢茂樹の本をあげておきます。この他にも、最近多くの本を出版している永井均もデビュー作は富岡氏だったはずですし、大庭健の『他者とは誰のことか』なんかも非常に面白かったです。
大げさにいうと、個人的には富岡氏こそがここ20年ほどで日本の思想界でもっとも影響力が大きい人物ではないか?とさえ思っています。
ほほう、並んだ書名・著者名がすごいですね。富岡勝さん、名前をメモしておきます。
http://www.bk1.jp/docs/interview/000018.html
オンライン書店ビーケーワン
ライトノベル界からも注目されている講談社の推理小説、「新本格」のジャンルで、若手作家のミステリー短編を集め創刊された新文芸誌。新本格ミステリ界の名物実力派(?)編集者太田克史が鼻息荒く立ち上げたのはいいけれど、好みの作家を呼んだだけだとも言われています。
「ボクの書いているのは小説でなく大説です」と豪語しする結末投げっぱなし大長編をシリーズで何作も書き続ける作家、清涼院流水とこの編集者との対談が見物です。作家より編集者が語ってどうするよ、作家に水向けられてどうするよ、と、彼を知らずとも思わず突っ込みを入れたくなるトンデモ対談です。純文学に進出している作家、舞城王太郎の短編も載っています。掲載されている小説はどれも読みきりですが、ちょっとマニア向けなのが難なので、対談部だけ立ち読みするのがおすすめかもしれません。
vol.2に乗っている「乙一」著、「F先生のポケット」が、比較的ほのぼのとしていてコメディタッチなので、推理小説に興味がない方でもお勧めです。F先生とは不二子先生の青色ロボットのポケットのことです。偶然そのポケットを拾った女子高生が…という話です。
ふむふむ。
講談社ノベルス20周年か何かで「密室本」という企画がありましたよね。あれを何冊か集めると、メフィスト賞選考会の匿名対談をまとめた本がもらえたんですけれども、あれを読むと太田さんのキャラの一端がわかって面白いです。
日常洋画劇場―映画のことはぜんぶTVで学んだ! (映画秘宝コレクション)
町山智浩さんが編集者として携わった本は面白いです。町山さんは現在は執筆者、コメンティターとしてご活躍ですが、この方が編集者として辣腕を振るわれた初期の別冊宝島、映画宝島、A5判の時の映画秘宝は面白いし、ためになるし、ある種の「気付き」を与えてくれる良書揃いです。
あ、そういうのもアリですね。
太田さんと宇山さんは新本格の読者なら常識として知っているべき編集者ですね。作家だけじゃ出版業界は回っていかないよな〜、と読者としても実感したのが宇山さんの仕掛けた新本格ブームの大成功でした。
石原正康さん、こんなすごい編集者を知らなかったとは不覚! もっとも、私は無知な一読者です。勉強するつもりで、はてなで質問しているので、以降の回答者も定番の有名編集者をご紹介いただければと思います。